2014年2月7日金曜日

大人と少年

(大人と少年)



夕方、住宅街



下を向きながら

歩いているサラリーマンがいた


駄目だった..............

一件も商品が売れなかった


もう50件ぐらい行ったのに.......

足が痛い


もう足が棒だよ

まるで重りがついている

みたいだ


このまま帰ったら

また上司に怒られるだろうな〜


今時セールスなんて

この不景気のご時世

やっても無理だよ


俺何してるんだろ?


毎日、毎日、毎日


歩いて歩いて歩いて


頭下げて、お願いして


断られる


疲れた..............人生に疲れた


男がうつむいて歩いて

いると公園が見えた


公園には無邪気な少年達の

笑い声がした



あ!公園だ

少し休むか


いいな〜子供達は無邪気で

俺も子供の頃に帰りたい



男が公園の中に入ると

少年達が見えた


少年達は5人で一人の

子を蹴ってイジメていた


子供の世界も酷いもんだな


男は大声で怒鳴った


「おい!お前ら!一人を5人で

いじめてるじゃねぞ!」


イジメていた少年達は

大声にビックリして逃げて行き


イジメられていた少年は

その場でしゃがみながら

泣いていた


男は泣いてる少年に近づき

頭を撫でた


「いつまでも泣いてるんじゃないよ

ほら立て」


泣いて少年を起こして服に

ついた砂を払ってあげた


「そうやって泣いてるから

イジメられるんだ!

分かったか」


男は公園のベンチに行こうと

したら


後ろの袖を引っ張るのを感じた


振り向いて見ると


泣き止んでいる少年が

男の顔を見ていた


「なんだよ、なんかようか?」


子供

「大人になったら

楽しい事いっぱいある?

今辛くっても大人になれば

楽しい事いっぱいある?」


「..............」


答えられなかった


楽しい事なんて少ししかない

辛い事だらけだ


でも、この少年にそれを言うのか?


大人になっても辛い事だらけだと


生きるのは辛いと


無理だ


「大人に

なれば楽しい事だらけだぞ!」


嘘をついてしまった

でも、この少年に現実を教えるには

残酷過ぎる


子供

「本当?でも、おじさん

楽しいそうじゃないよ

なんで!なんで!なんで!」


男は悲痛の顔になった


そんな目で俺を見るな!

そんな汚れのない純粋な目で!


現実を知りたいのか?

この腐った現実を?


少年は知りたがってるじゃないか


どうせ、大人になったら

嫌がおうにも知る事になる


分かった..............


「ゴメン、嘘をついていたよ

大人になっても辛い事だらけだぞ

いい事や楽しい事なんて

そんなにないぞ!」


少年は下を向いてしまった















「でもな!それを人のせいに

しちゃいけない

楽しい事やいい事は自分で

見つけなきゃいけないんだ!

楽しい事やいい事は

この世の中に溢れているんだよ

もし今が辛くっても

自分で変えて行かなきゃ

いけないんだ

人間は変える力を持っているだ

凄い力を持っているんだ

楽しい事やいい事に変える力を!」



男は、まるで自分に言い聞かす

ように少年に語りかけた



少年が、顔上げて男の顔を見た


男の顔は、にこやかな笑顔だった


少年

「本当!本当にそんな力

あるの?」


「あるとも!ただやらないだけだ

君にもその力はある!

今の自分を変えられる力が!」


少年の顔は笑顔になった


少年

「おじさん!ありがとう!

僕やってみるよ!」


少年はお礼を言って

男の元から走り去って行った


お礼を言わなきゃいけないのは

俺の方だよ


男は、足を少し動かした


足のお痛みは、まだあるが

重りが無くなっていた


まだ、50件


自分の足はまだ動くじゃないか


自分に甘えていたな



男はふっと笑いながら


足早に公園を出た




3日後


男は、また公園の近くまで来た


公園に子供達の笑い声が聞こえて

来た


男は恐る恐る中を覗くと


少年達6人がサッカーをしていた


その中にあの子が楽しそうに

笑っていた



少年は男に気づいて

行こうとしたが


男は片手を出して無言で

止めた


男は後ろを向き片腕を高く

上に伸ばして

親指👍を出して


去っていった



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