2014年2月1日土曜日

見えないもの

(見えないもの)






男がタクシーの後部座席で

項垂れながら外を見ていた

心な中は鬱だった


彼女が居る病院に行きたくない!


でも行かなくてはいけない


今日は彼女の視界が戻る日


俺の顔を見てなんて言うだろう

幻滅するだろうな〜


自分でも嫌なるくらい

顔は良くない


彼女は顔小さく

整った顔立ちの美人


どう見ても不釣り合いの二人


でも二人は恋人同士


彼女と出会ったの二年前だった


男はコンビニに行く途中

向かい歩道で


深く帽子を被り

サングラスをして

杖を

動かしながら歩いてる

女性を見かけた


一目で目が見えないのが

分かった


女性は歩道に止めてある

自転車に阻まれて


動けなくなっていた


誰か助けてくれるだろ

と思い歩きながら見ていると


通行人は彼女を無視して

早歩きでをして、とうり過ぎて行く


自分が行くしかない


反対側の歩道まで行き

自転車をどけてあげた



「どうぞ、これで通れますよ」


女性

「ありがとうございます

すみません

初めて来た街で分からなくって」


「じゃあ、案内しますよ」


女性

「いや、大丈夫ですよ

本当ありがとうございました」


女性は礼をして

行こうした時


歩道の縁石に足を取られて

転びそうになったのを

体で支えて抱きしめてしまった


柔らかい体

暖かい

何ていい匂いがするんだろう


我に返り

直ぐに離れた


「ご、ご、ごめんなさい、そういう

つもりじゃ無いんです

本当ごめんなさい」


女性

「私もごめんなさい

やっぱり一人じゃ無理みたいなんで

案内して貰えますか?」


「も、も、勿論です

案内します」


女性

「ありがとうございます」


帽子の奥から可愛らしい

笑顔で笑いかける彼女がいた



この出会いが切っ掛けに

なり二人は付き合い始めた



彼女の目は五年前に事故に遭い

両眼とも失明してしまったらしい


でも、角膜手術をすれば

視力は戻ると医者は言ってるが


彼女は手術を恐れて

先延ばししていたみたいだった


自分もそれを望んでいた


もし、彼女の視力が戻れば

自分は捨てられるだろう


こんな不細工な顔の自分を

捨てて


でも、恐れていたことが

現実になった


二ヶ月前に

彼女が手術を受けると

言い始めたからだ


自分は、つい怒った口調で


「何で?急に手術受けるの?」


彼女

「ごめん、受けない方がいい?」


「いや、そんな事は無いけど........」


彼女

「あなたの顔が見てみたいの

どんな顔してるのか

あなたが私に手術する勇気を

くれたの」


彼女は自分の顔を触って

笑ってくれた


彼女

「どんな顔かな?楽しみ」


自分は無理にでも笑顔を

作った

心の中は張り裂けそうな

気持ちでいっぱいだった


........終わった


この恋が終わったと




タクシーの運転手

「お客さ〜ん!着きましたよ」


気がつくとタクシーは

病院の横に止まっていた



重い足取りでタクシーを降りて

彼女の病室に向かったが


目の前で来て病室の入口に

隠れて彼女の様子を見た


目に包帯が巻かれてベットで

横になっいる


入れない


入りたいけど........


誰かが自分の肩を叩いた


医者

「何してるんですか?

入って、入って、ほれ

ここにいると邪魔だから

彼女が待ってるよ」


「すみません」


医者に急かされて病室に入ると


彼女がベットから上半身を

上げて嬉しそうに


彼女

「やっと、来てくれた

待ってたよ」


医者

「そうだよ、君を待っていたんだよ

もう、待ちくたびれたよ

ははははぁ   」


パン  パン


医者は自分の肩を強叩いた


「痛い。痛いですよ

すみませんでした

車が渋滞していて

エヘヘヘヘヘッヘ」


医者

「じゃあ、彼氏も来たし

早速、包帯取りますか」


「え?もう?」


まだ、心の準備が出来ていない


医者は自分を睨みつけて


医者

「文句ある?」


「いいえありません」


彼女

「早く取って下さい」


自分は黙って見守るしかなかった


医者が包帯を雑にいきよい良く

とって行く


おい!もっと優しく取ってやれよ

思いながら

心臓は凄い鼓動で動いていた


来る。もう直ぐ来る

彼女の目線が


包帯を巻き終わり


彼女は目を開けた

そして、自分の顔見た


彼女と初めて目が合った


何て綺麗な瞳なんだ


これが最後かぁ........


自分は彼女の目線が怖くなり


歪んだ顔になり目を横に空して

しまった








彼女

「見えない」


彼女

「何も見えない」


え?見えない


医者

「失敗かぁ〜」


医者は困った顔になり

頭をかいた


良かった


本当に良かった


目が見えなくっ........て?




糞!ーーーーー




自分は何を考えてるんだ

彼女の目が見えないだぞ


自分の中の醜い部分が

心の底から出て来て


自分に嫌気がさした


もう、死んにたい

彼女は自分に相応しくない


心まで醜いとは

目から涙が溢れてきた


情けない自分が

本当情けない


彼女

「こっちに顔近づけて」


彼女が手を伸ばしてきた


自分は涙を吹き顔近づけた


彼女の手が男の顔を

触ってくれた


何て暖かい手なんだ


彼女

「ごめんね、見えなくて」


彼女の目から涙零れ出て来てる


自分は彼女の手を取り


「ちょと、待っててね」


自分は医者の方を向いて


「ちょと、いいですか?」


医者

「あ〜いいですよ」


自分と医者は病室を出た


病院の待合室に入り

医者に土下座した


「どうか、彼女の目を戻して

下さい、お願いします

自分の目を使って下さい

お願いします!

もう、これしか彼女にして

やれないんです」


医者

「無理言わないで下さいよ

生きてる人間の目からは

取れないんですよ」


「じゃあ、死ねば、してもらえるんですか?」


医者が眉間に皺を寄せて

自分の襟首を強く掴んだ


医者

「変な事、考えるじゃねえぞ!

お前は何も見えちゃいない

何にもだ!


あーーームカつく!

イライラする

お前らお似合いだよ


さっさと彼女を連れて

退院しろ!」


医者は男の尻を思いっきり

足蹴りして

病院の待合室を追い出された


重い足取りで

彼女の病室に戻り


帰る準備をして


病院を出た


彼女が男の腕を掴みながら

歩いていると


彼女が自分の方を向き


彼女

「もし私の目が治ってたら

別れようと思ってたでしょ」


ビックリした

心を見抜かれていたんだと


「そんな事ないよ大丈夫だよ」


彼女

「本当?」


「本当だよ、それに目も大丈夫

治るからね


ごめん、ちょと、ここで

待ってて」


彼女

「うん、分かった」


自分は彼女置いて車道に

歩き始めた


自分に出来る事はこれぐらい

しかない


本当今迄ありがとう







その様子を病院3階の待合室の

窓から医者が見ていた


看護婦が後ろから声をかけてきた


看護婦

「先生また、ここで

油売ってですか?」


医者

「うるせーな

今いいとこなんだよ」


看護婦

「もう、患者さ........が

何見てるですか?

          

あ!何してるんですか!

あの人?」


医者

「死ぬつもりらしいよ〜」


看護婦

「早く止めいかないと!」


看護婦が行こうとした時

医者が腕を強く掴んで止めた


医者

「余計な事するんじゃねぇ」










自分は車道の手前で立っていた

右の方からトラックが

自分の方に近づいて来る


やっぱ、死ぬ時痛いんだろうな


即死ならいいんだけどな


顔だけは守らないと

多分酷い姿になるかも


丁度彼女が目が見えなくって

良かった


あと、もう少しだ


スピード上げて来てるな


よし


今だ!










誰が後ろから抱きついて来た


柔らかい


暖かい


いい匂いがする


何でだ?


彼女は目が見えないはず


見えない........


彼女

「ごめんね


嘘ついて


怖かったの

貴方がいなくなるんじゃないかと


なんか、最初出会った時みたい

になっちゃね


今度は私が抱きついちゃった」




俺は           馬鹿だ!




医者の言ったとうりだ



何も見えちゃいなかった



彼女全部見えていたんだ

何もかも



男は後ろを向き

彼女を強く抱きしめた








待合室で医者と看護婦が

二人の様子を見ていた


医者

「あーーーやってらんね〜

変な小芝居させられるしよ〜


臭いメロドラマみたいだよ


あーーー臭い!臭い!」


看護婦

「そうですか〜?

顔!ニヤけてますよ〜」


看護婦が医者の顔見て

笑っている


医者は恥ずかしくなり

顔が赤くなる


医者

「ほらほら!仕事!仕事!

サボってじゃね〜よ」


看護婦

「サボってたのは先生でしょ〜」



医者と看護婦は

言い争いながら待合室を出た




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