感情
私は今
警察署の中にある取調室の椅子に
座っています
薄暗く狭い冷たい壁が
威圧感を感じ
この場所で
色んな人が取り調べられ
罪を吐いたのでしょう
私もその中の一人に
今からなります
私の罪は........
愛する女性の命を奪ってしまった
罪
この手で愛する人の首を........
誰かの足音が近づいて来ました
イラついているのか
ドカドカと威嚇する様な
足音が取調室の扉で止まり
ゆっくり扉が開きました
そこには
40代ぐらいの無精髭を生やした
男の刑事が私を敵意のある
眼つきで睨みながら
入って来ました
深い溜息をつきながら
椅子に座り
調書を机に放り投げて
私に聞いて来ました
刑事
「お前みたいな奴を
相手にするのは嫌だが
こっちも仕事だ
一つだけ聞く"何故殺した"?」
私
「私は彼女を愛していました
でも、彼女は私の愛を
拒否したので、感情的になり
殺してしま........」
バン
私の言葉を遮るように
刑事は机を叩いた
部屋に響くぐらいの大きな音で
刑事
「感情的か!ふざけるな!
だから嫌なんだよ
こいつを取り調べのを!」
刑事の眼つきが
あの時の彼女の眼つきに
似ていた
私の存在自体を
拒否をする様な
眼つき
また"あの感情"が湧いてきました
私
「なんで彼女を愛しちゃ
いけないんですか?
今まで、感情を出さずに
いたが!
もう、我慢出来ない
もう、感情を殺すのは御免だ!」
ドン
気がついたら
私も机を叩いていました
机の天板がUの字型に
曲がり
私の手の跡が付いていました
刑事がそれを見ながら
私にいました
刑事
「お前、ロボットだろ」
そう
私はロボット
彼女に仕えていた
召使いロボット
彼女は孤独だった
家族も兄弟も友人もいなかった
人嫌いで人と交わろうせず
でも、孤独には
耐えられず
私が彼女の話相手になっていた
彼女はそれで
孤独を紛らわしていた
彼女は私に全ての愛情
注いでいった
そのうち
私の中である物が生まれた
感情
愛情という名の感情
彼女は私の事を醜い物
見る様な眼つきで
こう言った
「故障したのね
貴方のは、愛情じゃない
ただの"バク"よ」
啼く
ある男が
二階の丁度真ん中にある
真っ黒く焼けたアパートの部屋を
外から覗いていた
(フフフゥ
ざまーみろ
俺の事を毎日馬鹿にした罰だ!
ゴミだの、クズだの、
罵りやがって
しまいには暴力まで振るって
来やがった
棒で叩こうなんて
頭がおかしんじゃないか
いつか、復讐してやろうと
思い
見つからないように
毎日後を付けた甲斐があった
あの野郎
自分のアパートに近くに
煙草のポイ捨てしやがって
それもまだ、煙が出ていて
火が消えていないかった
これはチャンスだと思い
まだ火のついていた
吸い殻を
あいつのアパートの玄関にある
山積みになっている
新聞の上に置いてやった
まさか、あんなに上手く
燃えるとは
木造のアパートだから
新聞さえ燃え広がれば
あっというまだったな
燃える、燃える
窓からあいつのもがき苦しむ姿が
面白かった
火が部屋を包み逃げ場所が
無くなり
煙にから必死に逃げようと
咳き込みながら
うろたえる姿
最後にあいつが
眉間に皺を寄せ
細い目で目が合ったが
悲しみなのか憎しみなのか
分からん顔していたな
まぁ
自業自得だ、楽しかったよ
ん?
なんだ?あいつら
何してやがるんだ?)
焼け後のアパートでは
出火原因となった二階の
玄関先で
二人の若い刑事と
年配の刑事が出火原因を
調べていた
若い刑事
「ここが出火原因と見られます」
年配の刑事
「そうか、
死亡者は男性一名だったな
で、出火原因の元となった
物はなんだ?」
若い刑事
「玄関に新聞の束が置いて
あったみたいです
そこに火がついた煙草が
原因でそこから燃え広がった
みたいです
事故と放火の疑いで
調べてみますか?」
年配の刑事
「事故と放火か
事故にしてみても
ここで煙草を捨てるのは
ありえないどろ
それも二階だしな
放火でも、なんで煙草なんだ?
ライターで付けた方が
早いだろう?
わざわざ煙草で........
うーーーん
何故だ?分からん?」
若い刑事
「そうですよね」
男は考え込んでる男達を見て
滑稽でおかしくなり
大声で笑ってしまった
その声が年配の刑事の耳に
入り男を睨んだ
年配の刑事
「なんだ!あのうるさい
"カラス"は!」
カラスは電信柱の所に
止まっていて
まるで二階にいる刑事達の
様子を見ているようだった
そして
刑事達を嘲笑うように
カラスは啼き続けた
カカカァーカァーカァーカァー
金
「わははははぁぁぁ
うううううううううーーーー!」
笑いが止まらないし
涙が止まらない
遂にやった!
遂にやったぞ!
3億円ゲゲゲゲGETしたぜ!
夢にまでみた三億円
本当に夢じゃないんだ
宝クジで三億当てたんだ
新聞で数字が合ってるか
10回ぐらい見直した
確かにあってる
このボロアパートからも
おさらばだ!
やっと今まで苦労が報われる
「うううううう〜」
宝クジが滲んで見える
滝のように出て来る涙が
止まらない
昔から億万長者に憧れていた
子供の時からの夢だった
どうすれば億万長者に
なれるか考えた
俺は自分の事をよく知っていた
勉強は出来なかった
運動も苦手だった
これといった特技もなかった
顔も普通だった
小心者で悪さも出来ない
こんな俺が億万長者になる
方法は一つ!
宝クジで三億円当てるしかない!
宝クジを当てる為なら
何でもした
三億円の宝クジが
ある度に
当たりが多く出る売り場に
一番乗りで買いに行き
毎朝
近くの神社にお参りもした
運がつく様に
バスで席を譲ったり
道端のゴミを拾ったり
一日いい事を三回以上した
給料のほとんどを
宝クジにつぎ込んで
生活費を切り詰めるだけ
切り詰めた
タバコも吸わない
酒も飲まない
同僚や友達に遊びや
飲みに誘われても
全て断わり続けて........
友達は一人もいない........
一人も........
家族もいない........
高校時代に両親は二人とも
癌で亡くした
仲良く二人で.......
俺の事を置き去りにして.......
寂しく何て無い!
人なんて信じない
直ぐに裏切るし
憎しみあう
お金は裏切らなし逃げもしない
それにお金があれば
何でも出来る
現代の魔法だ
欲しい物が手に入る
何処でも行ける
人だって集まって来る
なんでも叶うんだ!
「わははははははぁぁぁ」
笑いが止まらないや!
「あああああぁああぁぁぁ」
笑い過ぎて胸が痛くなってきた!
「あぁぁっぁぁううっううぅぅ」
あれ?
凄い胸の中が締め付けられる
ようで痛い
苦しい
呼吸がしづらい
「うーーーうーーぅぅぅ........」
ヤバイかも
もしかして........まさか........
次の日
先生
「まず、これを見て下さい」
病院の先生が
昨日撮ったレントゲンを俺に見せた
先生
「分かりますか?
右肺の所に大きな影がありますね」
確かに俺の肺の所に大きな
影があった
その影を見た時
昔を思い出した
そうだ.......高校時代の時だ
両親も同じレントゲンで
同じ影があった
先生
「大変申し上げ難いですが........」
俺
「分かってます 、悪性の癌ですよね
自分の両親も同じ癌で
亡くしました」
先生
「........そうですか
でも、今は化学療法や放射線療法
がありますから
遅らせる事は可能です」
俺
「遅らせる?
どれぐらいですか?」
先生
「........半年ぐらいは........
でも、他にも治療が合って........」
俺
「治らないですか!
金ならあります
幾らでも、出します」
必死で先生に訴えが
先生の顔色は押し黙って
暗いままだった
俺はその顔を見るのが
我慢できずに診察室を
飛び出してしまった
畜生!
やっと手に入れたのに
これから夢のような
幸せが待ってるはずだったのに
なんでだ!なんでだ!
なんで俺ばっかり
不幸が来るんだ
幸せの絶頂から背中を
押されて
不幸という奈落の下に
突き落とされなきゃいけないんだ!
涙が零れて来る
抑えようとしても
次から次へと出て来て
しまう
昨日の涙と違う涙が
手で涙を隠しながら
病院を出た所で
誰かに肩を叩からたのに
気づき
振り返ると
そこには神父の格好したを
した
40代ぐらいのおじさんが
立っていた
あ!そうだ
病院で俺の次に
診察を待っていた人だ
神父
「どうしたんですか
何かあったんですか?」
俺が泣いて出て来たから
心配してくれたんだ
でも、今はほっといて欲しい
俺
「いや........何でもないです」
神父
「そうですか
それならいいですけど
もし、話たい事や
心の中で溜まってる物が
あったら聞きますよ
話せば........少しは、楽に
なりますよ」
そう言って
神父は俺に優しい笑顔で
笑いかけてくれた
その笑顔見て
つい、
自分は過去の両親の事
宝クジで人生を費やした事
宝くじを当てた事
そして周り誰もいなくなった事
癌になった事
全部を道端で泣きながら
吐いてしまった
神父ただ
頷いて聴いてくれるだけだった
全部喋り終わり
涙も枯れた時
やっと神父が喋り出した
神父
「そうですか
そんな事があったんですか
辛かったでしょ
貴方は金の魔物に取り憑かれて
いたんですよ
寂しさを紛らわす為に
お金は何もしてくれません
悲しんでもくれません
貴方を愛してくれる事も
ありません
今からでも
遅くありません
お金から解放されなさい
そして、神に祈りを捧げるのです
そうすれば
貴方は救われるでしょう」
神父は最もらしい事を
言ったが
腑に落ちなかった
俺
「救われる?
何が? 癌でも直して
くれるんですか?
神に祈れば癌治るんですか?
話を聞いてくれたのには
感謝しますけど
ありがとうございます
でも
神を信じる事は
悪いけど出来ません
神なんで俺に
こんな辛い目に合わせたんですか?」
神父は俺に聖書を
渡してきた
神父
「これは、神が
与えた試練です
聖書を読みなさい
そうすれば
自ずと道は開けます」
俺は聖書を受け取り
神父に一様
礼を言い神父と別れた
神の試練?
ふざけるな!
こんな試練望んちゃいない
あと、半年しか命がないんだ
欲望の思うままに
最後の時を過ごしてやると
思い街に行った
なんでも買える
なんでも食べれる
なんで出来る
ポケットに入っている
宝クジを握り締めながら
店を見て回ったが
欲しい物が一つもなかった
食べたい物が一つもなかった
したい事が一つもなかった
今まで倹約に生きていた
せいか
貧乏性が体に染み付き
金を使う事に喜びを
見出せなかった
何て事だ
今更ながら
神父の言葉がみにしみて来た
自分に情けなくなり
落ち込んで歩いていると
駅前で
10歳ぐらいの
少女が一人で募金活動をしていた
少女
「お願いします
恵まれない子供の為に
寄付お願いします」
少女は早足歩く大人に
必死に声をかけるが
誰一人少女を見ずに
とうり過ぎた
それでも少女は声を
出し続けた
少女
「お願いします、お願いします」
俺は自然に足が少女の
方に向かっていた
そして、ポケットから
一枚の紙を募金箱に入れた
少女は俺を見て
嬉しいそうに
少女
「ありがとうございます」
と大きな声で礼を言った
後悔なんかしていない
いいんだこれで
俺が持っていても
しょうがない
これで子供達の命が救われば
少女の笑顔だけで十分だ
何か解放された気分だ
俺は少女に「がんばってね」
と言い
安いビールを買い
ボロアパートに帰った
次の日
家の電話が鳴り響いた
電話の音で目が覚めて
眠い目こすりながら
周りを見ると
部屋に太陽の光が差し込み
テレビの
朝のニュース番組の声が聞こえた
もう、朝か
ヤバイ!テレビも付けっ放しで
寝てしまった
ビール一本で寝てしまうとは
電話ひつこく鳴り響き
しょうがなく出てみると
病院の先生からだっら
先生
「よかった、やっと
出てくれましたね」
俺
「どうしたんですか
朝から、治療の件ですか?」
先生
「それがね
言いにくいんだけど........」
俺
「なんですか
勿体ぶらずに、言って下さい
もしかして、癌が消えたとか?」
冗談のつもりで言ってみたが
先生
「そうなんだよ」
俺
「え?」
それを聞いた瞬間
理解出来なかった
癌が消えた?
先生
「まぁ、消えたんじゃ
なくて、誤診というか
君の次の人とレントゲンが
入れ変わっていたんだよ
本当に申し訳ありませんでした」
それを聞いた時
俺の次の人は誰だか
考えた...........
神父だ!
先生
「いや〜君に直ぐ電話したんだけど
電話に出なかったから
明日の朝でいいかと思ってね
癌じゃなかたし
本当に申し訳なかった」
先生が受話器で話していたが
全然耳に入ってこなかった
それより
テレビのテレビのニュースに
意識がいっていた
キャスター
(昨日のお昼過ぎ
街角歩く女性に淫らな行為を
しようとして
43歳の職業牧師の男が逮捕されました
男は警察に取り押さえられる時
「俺が何をした
神に使えたのに、なんでこんな
目に合わなきゃいけないんだ」と
叫んでいたそうです)
あの神父
捕まったんだ
おい、あんだけ偉そうに
言っていたのに
やっぱり、いざ自分が
なると人は変わってしまうんだな
そして
意識が受話器に
戻った時には
電話はもう切れていた
あの糞医者、電話切りやがったな
そして深い溜息が出た
...........三億円が
落ち込んでる時に
聞き覚えのある声が
テレビから聞こえてきた
(少女
「はい、私が駅前で
募金活動してる時に
お兄さんが入れてくれたんです」
レポーター
「よく覚えていましたね」
少女
「はい、昨日は全然募金が
集まらなくって、落ち込んでる時に
入れてくれたんで覚えています
宝クジだったんで
300円ぐらい当たり券かと思って
いたら」
レポーター
「まさかの
三億円だったんですね
世の中には、太っ腹の
人もいるもんですね
最後に
もしかしたら見てくれてる
かもしれないんでテレビに
一言お願いします」
少女
「本当にありがとうございます
このお金は大切に使います」
レポーター
「こちらからは、以上です」)
少女はテレビの中から昨日と同じ
可愛い笑顔
俺に笑ってくれてた
なんだか笑いがこみ上げて来た
「はははははははぁーー」
しょうがないか!
また、当てればいいさぁ
今度は軽い趣味程度で
頑張るか!
ビールをゴミ箱に捨てて
朝の日課になっいる
神社に向かった
一様、神様に礼ぐらい
言わないとな
母性
40代ぐらいの女性が
傘を差しながら
重い足取りで歩いていた
雨が滝のように傘に打ちつつけて
周りの音をかき消し
足元は雨の跳ね返りで
靴の中まで濡らしていた
まだ、4時ぐらいなのに
街灯が付き
黒い雲が空を覆い
まるで女性の心を表してみたいだった
駄目!負けちゃ
私が負けたらあの子は
犯罪者になっちゃう
あの子を守ってあげられるのは
私しかいない
大丈夫!諦めなければ希望は
ある
女性は傘の枝を強く握りしめた
自宅の目の前で着き
玄関を見ると
無数の張り紙が貼ってあった
(死ね 犯罪者 ここっから出て行け
社会のゴミ.............)
女性は、もう見なられた
張り紙に何の感情もわかなった
逆に剥がしても、剥がしても
飽きずに貼って来る暇人に
少し可笑しくなってくる
他にやる事ないのかしら
と思ってしまう
息子が無実になったら
張り紙を張ったご近所は
どう、思うのだろう
謝りの来るのか?
私は信じてましたよと
嘘ぶるのか?
今にみてらっしゃい!
女性は張り紙を剥がさずに
ドワを開けて家に
入った
そこには
旦那が玄関の所に立っていた
「おかえり」何も言わず
妻の足元をじーと見つめていた
妻は旦那を見て
何もせずに世間に怯え
家にただ隠れてる
だけの旦那に腹が立った
妻
「いいわね!
家で、くつろいでいられて
貴方今の状況分かってるの?
息子が大変な目に合ってるのよ!
近所の小学生を殺した罪を
着せられてるのよ
誰に嵌められてるのよ
あの子はやっていないと言ってるのに
たいした証拠もないのに
怪しいというだけで
警察に連行されて
悔しくないの?
家に隠れて恥ずかしくないの?
私は一所懸命足を棒に
しながら歩いて
息子の無実の証拠を探しているのに
それでも、父親!」
妻は旦那を睨みつけながら
罵声を浴びせたが
旦那の顔色は変わらず
小さい声で
旦那
「成果はあったのか?」と
聞いて来た
妻
「あったわよ
犯行時間に犯行現場と
違う場所に息子を見たという
男の人を見つけたわよ!
これで、無実が証拠出来るわ」
旦那
「そうか........ちょと
お前に見せたい物がある」
そういうと旦那は奥の居間
行ってしまった
妻は、せっかく無実の証拠を
見つけてきたのに
何も反応しない旦那に
ムッとしながら
乱暴にびしょ濡れの靴を脱ぎ捨て
旦那の後を追った
妻が居間に入ると
旦那はリモコンを持ちながら
テレビの横に立っていた
旦那
「お前、男に幾ら払った?」
妻の体がビックと小さいビクつき
体を小さく縮めて
目を大きく開き旦那を見た
妻
「な、な、なぁ何の事?
いっいい言ってる意味が分からない?」
旦那はテレビをつけて
DVDデッキの再生を押した
映し出されたのは
窓のない暗い部屋
天井の釣り下がる裸電球の
下に
ロープで椅子に縛られて
目隠しと猿轡をして
体を震えている
小さい女の子
目隠しの下から涙がこぼれていて
「ふ、ふうう!ふう」
と必死に何かを訴え
ようとしている
一人の男が現れた
後ろで顔が見えない
女の子に近づいて
頬を軽く撫でた
男
「どうしたの
ふふふふふぅ そんな、そんなに
泣いちゃって、大丈夫
お兄ちゃんと楽しい事
するだけだから
ふふふふふ
はっはははっははっはーーー!」
男は甲高く笑い
ポケットから5センチぐらいナイフ
取り出し
女の子の太ももに刺した
女の子
「ふぅーーーーーううううう
んんんーーー
んんーーーーーー」
女の子は悲鳴と体を大きく
揺さぶった
ナイフの刺さった太ももから
血が少し流れ出て
男はナイフをグリグリと
回すと血が大量に流れ出てから
ナイフを抜くと
血が吹き出た
大量の返り血を浴びる男の
顔は笑っていた
見慣れた顔
いつも、見ている顔
息子の顔だった
息子
「死ね!」ザク ふぅーー!
「死ね!」ザク んんーー!
「死ね!」ザク ふううう!
「死ね!................」
息子はリズムを取るように
ナイフで女の子の
体の色んな所を刺し続けた
妻は固まったて
テレビを見ていた
テレビに映てる息子の顔
を何の感情も
表さずに黙って見ていた
旦那
「警察は合ってたんだ
あいつが犯人だったんだ!
あいつは息子は
俺は、俺は、俺は、知っていた
いつかこうなるじゃないかを
お前も知っていただろ?
本当は分かっていただろ?
お前は昔から猫が好きで
よく拾って来たけど
いつも、一ヶ月ぐらいで
いなくなっていたろ?
うちらは逃げたんだろう
と思っていたけど
あいつが殺していたんだよ
最初の一匹は逃げたんだと
思ったよ
でも、立て続けにいなく
なっておかしいと思ったよ
ある時、見ちまったんだよ
あいつが笑いながら
庭で猫を殺してるのを!
そこで、注意や精神科に
行けば良かったけど
怖くなって何も言えず
その場を逃げてしまった........
糞、糞、糞、糞、クソ!
こんな事になるなんて........
お前が外で無実の証拠探している間
俺はあいつの部屋に入り
証拠を探したよ
家宅捜索で警察が調べ済みだかが
もしかしてと
思って........
運がいいのか、悪いのか
見つけちまったんだよ
警察にも見つけられなかった
証拠のDVDを........」
妻
「このDVDどうするの?」
旦那
「警察に提出しよう
もう、もう、終わらせよ
もう........また、やり直そう
家族三人で罪を償おう」
旦那は妻を強く抱きしめた
妻
「DVD最後まで見た?」
旦那
「いや、見ていない
見れるか!息子の........
こんな........姿........」
息子
「ママ、ちゃんと撮れた?」
妻
「大丈夫よ、ちゃんと撮れたわ」
旦那は後ろを振り返り
テレビを見ると映っていたのは
血だらけで動かない女の子
血だらけのナイフを持った息子
そこに近ずく40代の女性
いつも見ていた
見慣れた姿が映っていた
妻が薄ら笑いしながら
旦那の耳元で囁いた
妻
「私ね、実は、猫、大嫌いなのよ」