2014年4月6日日曜日

母性

母性







40代ぐらいの女性が

傘を差しながら

重い足取りで歩いていた


雨が滝のように傘に打ちつつけて

周りの音をかき消し

足元は雨の跳ね返りで

靴の中まで濡らしていた


まだ、4時ぐらいなのに

街灯が付き

黒い雲が空を覆い

まるで女性の心を表してみたいだった


駄目!負けちゃ

私が負けたらあの子は

犯罪者になっちゃう


あの子を守ってあげられるのは

私しかいない


大丈夫!諦めなければ希望は

ある


女性は傘の枝を強く握りしめた


自宅の目の前で着き

玄関を見ると

無数の張り紙が貼ってあった


(死ね   犯罪者   ここっから出て行け

社会のゴミ.............)


女性は、もう見なられた

張り紙に何の感情もわかなった


逆に剥がしても、剥がしても

飽きずに貼って来る暇人に

少し可笑しくなってくる


他にやる事ないのかしら

と思ってしまう


息子が無実になったら

張り紙を張ったご近所は

どう、思うのだろう


謝りの来るのか?


私は信じてましたよと

嘘ぶるのか?


今にみてらっしゃい!


女性は張り紙を剥がさずに

ドワを開けて家に

入った


そこには


旦那が玄関の所に立っていた


「おかえり」何も言わず


妻の足元をじーと見つめていた


妻は旦那を見て

何もせずに世間に怯え

家にただ隠れてる

だけの旦那に腹が立った


「いいわね!

家で、くつろいでいられて


貴方今の状況分かってるの?


息子が大変な目に合ってるのよ!


近所の小学生を殺した罪を

着せられてるのよ


誰に嵌められてるのよ


あの子はやっていないと言ってるのに


たいした証拠もないのに


怪しいというだけで


警察に連行されて


悔しくないの?


家に隠れて恥ずかしくないの?


私は一所懸命足を棒に

しながら歩いて

息子の無実の証拠を探しているのに


それでも、父親!」


妻は旦那を睨みつけながら

罵声を浴びせたが


旦那の顔色は変わらず

小さい声で


旦那

「成果はあったのか?」と

聞いて来た


「あったわよ

犯行時間に犯行現場と

違う場所に息子を見たという

男の人を見つけたわよ!


これで、無実が証拠出来るわ」


旦那

「そうか........ちょと

お前に見せたい物がある」


そういうと旦那は奥の居間

行ってしまった


妻は、せっかく無実の証拠を

見つけてきたのに

何も反応しない旦那に

ムッとしながら


乱暴にびしょ濡れの靴を脱ぎ捨て

旦那の後を追った


妻が居間に入ると

旦那はリモコンを持ちながら

テレビの横に立っていた






















旦那

「お前、男に幾ら払った?」



妻の体がビックと小さいビクつき

体を小さく縮めて

目を大きく開き旦那を見た


「な、な、なぁ何の事?

いっいい言ってる意味が分からない?」


旦那はテレビをつけて

DVDデッキの再生を押した



映し出されたのは

窓のない暗い部屋


天井の釣り下がる裸電球の

下に


ロープで椅子に縛られて

目隠しと猿轡をして

体を震えている

小さい女の子


目隠しの下から涙がこぼれていて

「ふ、ふうう!ふう」

と必死に何かを訴え

ようとしている


一人の男が現れた

後ろで顔が見えない


女の子に近づいて

頬を軽く撫でた


「どうしたの

ふふふふふぅ そんな、そんなに

泣いちゃって、大丈夫

お兄ちゃんと楽しい事

するだけだから


ふふふふふ

はっはははっははっはーーー!」



男は甲高く笑い

ポケットから5センチぐらいナイフ

取り出し


女の子の太ももに刺した


女の子

「ふぅーーーーーううううう

んんんーーー

んんーーーーーー」


女の子は悲鳴と体を大きく

揺さぶった


ナイフの刺さった太ももから

血が少し流れ出て


男はナイフをグリグリと

回すと血が大量に流れ出てから


ナイフを抜くと

血が吹き出た


大量の返り血を浴びる男の

顔は笑っていた


見慣れた顔


いつも、見ている顔


息子の顔だった


息子

「死ね!」ザク ふぅーー!

「死ね!」ザク んんーー!

「死ね!」ザク  ふううう!

「死ね!................」


息子はリズムを取るように

ナイフで女の子の

体の色んな所を刺し続けた



妻は固まったて

テレビを見ていた


テレビに映てる息子の顔

を何の感情も

表さずに黙って見ていた


旦那

「警察は合ってたんだ

あいつが犯人だったんだ!


あいつは息子は

俺は、俺は、俺は、知っていた


いつかこうなるじゃないかを


お前も知っていただろ?

本当は分かっていただろ?


お前は昔から猫が好きで

よく拾って来たけど

いつも、一ヶ月ぐらいで

いなくなっていたろ?


うちらは逃げたんだろう

と思っていたけど


あいつが殺していたんだよ


最初の一匹は逃げたんだと

思ったよ


でも、立て続けにいなく

なっておかしいと思ったよ


ある時、見ちまったんだよ


あいつが笑いながら

庭で猫を殺してるのを!


そこで、注意や精神科に

行けば良かったけど


怖くなって何も言えず

その場を逃げてしまった........


糞、糞、糞、糞、クソ!


こんな事になるなんて........


お前が外で無実の証拠探している間


俺はあいつの部屋に入り

証拠を探したよ


家宅捜索で警察が調べ済みだかが


もしかしてと

思って........


運がいいのか、悪いのか

見つけちまったんだよ


警察にも見つけられなかった

証拠のDVDを........」


「このDVDどうするの?」


旦那

「警察に提出しよう

もう、もう、終わらせよ

もう........また、やり直そう

家族三人で罪を償おう」



旦那は妻を強く抱きしめた



「DVD最後まで見た?」


旦那

「いや、見ていない

見れるか!息子の........

こんな........姿........」


























息子

「ママ、ちゃんと撮れた?」


「大丈夫よ、ちゃんと撮れたわ」



旦那は後ろを振り返り

テレビを見ると映っていたのは


血だらけで動かない女の子


血だらけのナイフを持った息子


そこに近ずく40代の女性


いつも見ていた


見慣れた姿が映っていた




妻が薄ら笑いしながら

旦那の耳元で囁いた




「私ね、実は、猫、大嫌いなのよ」


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