死にたい女
今日も
何もない単調な生活が
終わるはずだった
僕は、半年前に大学で
薬剤師の免許取得して
従業員4人の小さな薬局に就職した
処方箋の調剤を配合をして
患者に渡す
その繰り返しの単調な毎日
給料も世間一般的な額で
お店の従業員も
軽く会話が出来る仲で
悪くもないがプラベートまで付き合う間からでは無い
人と付き合うわずわらしさを
なるべく避けていた
不満は、無く
ただ、ただ単調
面白味の無い漂ってる空気と同じ
何も考えず
時だけが過ぎる毎日を
過ごしていた
自ら望んだ単調な生活
それが、幸せだと思っていた
今日も新人の僕が一人残り
店の後かたずや掃除をしてから
帰るの日課だった
別に帰ってする事が無く
一緒に働く年配のパートさんからは
「いつも悪いわねぇ
先に帰って掃除や戸締りまで」
「大丈夫です
後任せてください
新人なんで当然ですよ」と
笑顔で返すが
一人の効率がいいし
早く、一人になりたかっただけで
礼を言われる筋合いは
これポッチも無かった
店の掃除が終わり
外は、真っ暗な夜で肌寒い風が
吹いていた
悴みそうな手で
戸締りを確認してシャッターにかけた時
「あの....すみません」
微かな声が背後から聞こえて来て
振り返ると
髪の長い赤いコートを来た
女性が立っていた
「ごめんなさい
もう、終わりなんですよ
また、明日来て下さい」
僕は、また正面を向いて
シャッターに手をかけようと
したが
「明日じゃ駄目なんです!」
突然空気を切り裂くような
大声で女性が叫んだ
「貴方にしか
頼めないんです」
女性の視線が僕の目を捉えた
顔は痩せ細り覇気の無い
死人のような顔立ちだが
目だけが何か決意したかのような
力強い目をしていた
その力強い目に惹かれる様に
聞いてしまった
「頼みとは....何ですか?」
女性は、何かはにかんだ笑顔の
表情で言った
「毒を下さい」
思いもよらない回答に
唖然とした
「何を言ってるですか?
そんなの無理に決まってる
じゃ無いですか?」
「私、知ってるんですよ
薬局に
青酸カリとか置いてあるの
調べたのよ」
確かに
何処の薬局も鍵の掛かった戸棚に
保管してあるが
「あれは、一般の人に
売ったら、僕が罪に問われる
劇物取締法で犯罪者です」
「大丈夫です
ご迷惑かけません
脅されたと言えば....」
いつの間にか
女性の手には鋭利の尖った
包丁をが僕の右脇腹にの
側にあった
この女性は、本気だと確信した
恐怖で声が出なかった
そんな僕の表情を見て
女性が無邪気に言った
「大丈夫です
刺さ無いから
形だけ形
私、本当に死にたいの
でも、電車とかビルで飛び降りとか
人に迷惑かかるし
首吊りとか
綺麗じゃ死ね無いの
目が飛び出し涎垂らして
首んなんか伸びちゃって
色んな穴から汚い物が出て来るとか
死ぬなら
最後ぐらい綺麗に死にたいの」
駄目だ完全に目が逝ってる
僕は、頭を回転させて
この状況を打破する一つの
思いつきが閃いた
「分かりました
ここで待っていて下さい」
僕は、店に入り
棚の鍵を開けて青酸カリを
取り出しカプセルを
用意した
外から女性が覗き込んで
監視してる
警察に電話するの諦めた
カウンター越しで女性には
手もとだけ見えていない
カプセルには
青酸カリを入れず
薬のカサ増し様の無害の
賦形剤を入れた
それを処方箋の袋に入れて
外に出て女性に渡した
「本当にいいですか?
これを飲めば、死に至る致死量で
確実に死にます」
安堵の表情になり
女性は、あの燃えるよな力強い
目から
冷たい力尽きた目をしていた
「本当にありがとうございます
なんと、お礼を言っていいか
これで、やっと
終わる
ありがとうございました」
女性は、頭を下げて
立ち去ろうとした
最後にどうしても聞きたい事が
あった
「最後に聞かせて下さい
何故僕に頼んだんですか?」
女性の力の抜けた
優しい微笑みを僕に向けて
「実はここ
なんかいか来てるの
奥の部屋でお仕事してたから
気づか無いと知ら無いと思うけど
ある日ねぇ
貴方の目を見て思ったの
同じ目をしているって」
そう言って
僕に笑顔だけを残し
夜の暗闇に吸い込まれる様に
女性は消えて行った
あれから
3日が過ぎ
女性は、現れなかった
偽物をつかまされて
怒鳴り込んで来ると思っていたが
女性の変わりに
厳つい草臥れた背広来た
如何にも堅気の人に見えない
男が現れた
その男は
僕に警察手帳を見せて
「すみません
お話を聞かせて下さい
ここじゃ、あれなんで外で」
大体は、予想はついている
あの女性が、警察に駆け込んで
僕の事を、喚き散らしたのだろう
刑事が先に外に出て
僕も出ようとしたら
パートのおばさんに
好奇心と猜疑心の混じった様な
目で見られた
「どうしたの?大丈夫?」
「大した事無いです
やましい事、何一つして無いんで」
パートのおばさんの
次の言葉を塞ぐ様に急いで
外に出た
外の肌寒さが顔に沁みり
お店の裏で
刑事がポケットの中を
探っていた
「すみません
ここで喫煙は....」
刑事は
ポケットから取り出したのは
タバコじゃなかった
透明のビニール袋を取り出し
その中身は
女性にあげた処方箋袋だった
「これ
2日前に自宅で見つかった
女性の遺体の近くで落ちていた
袋なんですよ」
「あ....」
声になら無い声が出てしまったの
同時に女性が死んだ事に
驚いてしまった
何処かで毒物を手に入れたのか?
刑事は獲物を狩る
鋭い眼光で目で僕を睨んだ
「知っているんですねぇ
この中に何が入っていたんですか?」
「あの....それは....」
3日前の経緯を刑事に話したが
浮か無い顔で聞いていた
「だから
僕のあげたカプセルは
毒物なんか入っていないです!
あのカプセルじゃ人は
死にません」
刑事は、渋い顔して
後頭部を掻きながら
「女性の死因が不明なんですよ
家で一人で亡くっているので
一様司法解剖かけたんですけど
本当に綺麗な遺体でしたよ」
「綺麗....」
あの時に言っていた女性の
言葉が耳を奥で聞こえて来た
「処方箋袋があるから
まさかと思い解剖したんですけど
自殺と見ても鑑識の結果は
毒物が無く
ただ....」
「ただ?」
「体が生きる活動を止めてしまった
と言っていた
監査医が
もしかして
プラサーなんとかと言う」
「プラシーボ効果ですか?」
「そう、それだ
女性は、毒だと思い込んで
カプセルを飲み込み
プラシーなんとかで死んだと
信じられないんだ
だから聞きに来たが....
確信になっちまうとは....」
僕があげた、嘘の毒カプセルで
死ぬなんて
そんな事なら
無理にでも説得していればと
後悔の念が苛まれている僕に
刑事が励ます様に言った
「いいんじゃないか
君は悪くない
女性側に遺書もあった
君に感謝していたよ
ありがとうって
女性も不幸が続いたんだよ
夫と子供に死なれて
女性の側に写真も
置いたあった家族のなぁ
今頃家族もとさぁ
そう言えば君」
刑事が僕の顔を覗き込んだ
「何ですか?」
「目が写真の子供に
似てる気が....
悪い....余計な事を言い過ぎた」
僕は、最後に微笑み浮かべた
女性の顔が頭に余儀った
あの
微笑みは、子供に似ていた
僕を子供と思ってかけた
母親の微笑みだったのか
女性の暖かい笑顔が
頭からいつまでも
離れられないでいた
多分これからも....