2015年12月8日火曜日

死にたい女


死にたい女




今日も
何もない単調な生活が
終わるはずだった

僕は、半年前に大学で
薬剤師の免許取得して
従業員4人の小さな薬局に就職した
処方箋の調剤を配合をして
患者に渡す
その繰り返しの単調な毎日
給料も世間一般的な額で
お店の従業員も
軽く会話が出来る仲で
悪くもないがプラベートまで付き合う間からでは無い

人と付き合うわずわらしさを
なるべく避けていた

不満は、無く


ただ、ただ単調

面白味の無い漂ってる空気と同じ
何も考えず
時だけが過ぎる毎日を
過ごしていた

自ら望んだ単調な生活
それが、幸せだと思っていた

今日も新人の僕が一人残り
店の後かたずや掃除をしてから
帰るの日課だった

別に帰ってする事が無く
一緒に働く年配のパートさんからは

「いつも悪いわねぇ
先に帰って掃除や戸締りまで」

「大丈夫です
後任せてください
新人なんで当然ですよ」と
笑顔で返すが
一人の効率がいいし
早く、一人になりたかっただけで
礼を言われる筋合いは
これポッチも無かった

店の掃除が終わり
外は、真っ暗な夜で肌寒い風が
吹いていた
悴みそうな手で
戸締りを確認してシャッターにかけた時

「あの....すみません」

微かな声が背後から聞こえて来て
振り返ると
髪の長い赤いコートを来た
女性が立っていた

「ごめんなさい
もう、終わりなんですよ
また、明日来て下さい」

僕は、また正面を向いて
シャッターに手をかけようと
したが

「明日じゃ駄目なんです!」
突然空気を切り裂くような
大声で女性が叫んだ

「貴方にしか
頼めないんです」

女性の視線が僕の目を捉えた
顔は痩せ細り覇気の無い
死人のような顔立ちだが
目だけが何か決意したかのような
力強い目をしていた

その力強い目に惹かれる様に
聞いてしまった

「頼みとは....何ですか?」

女性は、何かはにかんだ笑顔の
表情で言った

「毒を下さい」

思いもよらない回答に
唖然とした

「何を言ってるですか?
そんなの無理に決まってる
じゃ無いですか?」

「私、知ってるんですよ
薬局に
青酸カリとか置いてあるの
調べたのよ」

確かに
何処の薬局も鍵の掛かった戸棚に
保管してあるが

「あれは、一般の人に
売ったら、僕が罪に問われる
劇物取締法で犯罪者です」

「大丈夫です
ご迷惑かけません
脅されたと言えば....」

いつの間にか
女性の手には鋭利の尖った
包丁をが僕の右脇腹にの
側にあった

この女性は、本気だと確信した
恐怖で声が出なかった

そんな僕の表情を見て
女性が無邪気に言った

「大丈夫です
刺さ無いから
形だけ形

私、本当に死にたいの
でも、電車とかビルで飛び降りとか
人に迷惑かかるし
首吊りとか
綺麗じゃ死ね無いの
目が飛び出し涎垂らして
首んなんか伸びちゃって
色んな穴から汚い物が出て来るとか

死ぬなら
最後ぐらい綺麗に死にたいの」

駄目だ完全に目が逝ってる

僕は、頭を回転させて
この状況を打破する一つの
思いつきが閃いた

「分かりました
ここで待っていて下さい」

僕は、店に入り
棚の鍵を開けて青酸カリを
取り出しカプセルを
用意した

外から女性が覗き込んで
監視してる

警察に電話するの諦めた

カウンター越しで女性には
手もとだけ見えていない
カプセルには
青酸カリを入れず
薬のカサ増し様の無害の
賦形剤を入れた

それを処方箋の袋に入れて
外に出て女性に渡した

「本当にいいですか?
これを飲めば、死に至る致死量で
確実に死にます」

安堵の表情になり
女性は、あの燃えるよな力強い
目から
冷たい力尽きた目をしていた

「本当にありがとうございます
なんと、お礼を言っていいか
これで、やっと
終わる
ありがとうございました」

女性は、頭を下げて
立ち去ろうとした

最後にどうしても聞きたい事が
あった

「最後に聞かせて下さい
何故僕に頼んだんですか?」

女性の力の抜けた
優しい微笑みを僕に向けて

「実はここ
なんかいか来てるの
奥の部屋でお仕事してたから
気づか無いと知ら無いと思うけど
ある日ねぇ
貴方の目を見て思ったの
同じ目をしているって」

そう言って
僕に笑顔だけを残し
夜の暗闇に吸い込まれる様に
女性は消えて行った


あれから
3日が過ぎ

女性は、現れなかった
偽物をつかまされて
怒鳴り込んで来ると思っていたが
女性の変わりに
厳つい草臥れた背広来た
如何にも堅気の人に見えない
男が現れた

その男は
僕に警察手帳を見せて
「すみません
お話を聞かせて下さい
ここじゃ、あれなんで外で」

大体は、予想はついている
あの女性が、警察に駆け込んで
僕の事を、喚き散らしたのだろう

刑事が先に外に出て
僕も出ようとしたら
パートのおばさんに
好奇心と猜疑心の混じった様な
目で見られた

「どうしたの?大丈夫?」


「大した事無いです
やましい事、何一つして無いんで」

パートのおばさんの
次の言葉を塞ぐ様に急いで
外に出た

外の肌寒さが顔に沁みり
お店の裏で
刑事がポケットの中を
探っていた

「すみません
ここで喫煙は....」

刑事は
ポケットから取り出したのは
タバコじゃなかった

透明のビニール袋を取り出し
その中身は
女性にあげた処方箋袋だった

「これ
2日前に自宅で見つかった
女性の遺体の近くで落ちていた
袋なんですよ」

「あ....」
声になら無い声が出てしまったの
同時に女性が死んだ事に
驚いてしまった
何処かで毒物を手に入れたのか?

刑事は獲物を狩る
鋭い眼光で目で僕を睨んだ

「知っているんですねぇ
この中に何が入っていたんですか?」

「あの....それは....」

3日前の経緯を刑事に話したが
浮か無い顔で聞いていた

「だから
僕のあげたカプセルは
毒物なんか入っていないです!
あのカプセルじゃ人は
死にません」

刑事は、渋い顔して
後頭部を掻きながら

「女性の死因が不明なんですよ
家で一人で亡くっているので
一様司法解剖かけたんですけど
本当に綺麗な遺体でしたよ」

「綺麗....」
あの時に言っていた女性の
言葉が耳を奥で聞こえて来た

「処方箋袋があるから
まさかと思い解剖したんですけど
自殺と見ても鑑識の結果は
毒物が無く
ただ....」

「ただ?」

「体が生きる活動を止めてしまった
と言っていた
監査医が
もしかして
プラサーなんとかと言う」

「プラシーボ効果ですか?」

「そう、それだ
女性は、毒だと思い込んで
カプセルを飲み込み
プラシーなんとかで死んだと
信じられないんだ
だから聞きに来たが....
確信になっちまうとは....」

僕があげた、嘘の毒カプセルで
死ぬなんて
そんな事なら
無理にでも説得していればと
後悔の念が苛まれている僕に
刑事が励ます様に言った

「いいんじゃないか
君は悪くない

女性側に遺書もあった
君に感謝していたよ
ありがとうって
女性も不幸が続いたんだよ
夫と子供に死なれて
女性の側に写真も
置いたあった家族のなぁ

今頃家族もとさぁ

そう言えば君」

刑事が僕の顔を覗き込んだ

「何ですか?」

「目が写真の子供に
似てる気が....
悪い....余計な事を言い過ぎた」

僕は、最後に微笑み浮かべた
女性の顔が頭に余儀った

あの
微笑みは、子供に似ていた
僕を子供と思ってかけた
母親の微笑みだったのか

女性の暖かい笑顔が
頭からいつまでも
離れられないでいた

多分これからも....

2015年9月12日土曜日

友達

友達




「「カンパーイ」」

チン!

ビールのジョッキ鳴らしてから
冷えたビールを喉に流し込む

ビールが身体の中に染み渡る

正面の席にいる、友達を見ると

友達が、喉を休める事なく
グビグビ飲んで
空にしてしまった

「すみません!ビール
おかわり」

「おい、おい、ピッチが早いよ」

「私は、これが生き甲斐で
生きてるの!
あんたこそ、遅い、男の癖に
私に負けてるんじゃないよ」

「女?何処に女性が
いるのかな?
全然見当たらないけど」

「アン?喧嘩売ってる?」

友達が、自分の襟首を
掴んで、睨みを利かしてきた

自分は、首を横に振り

「売ってませんよ〜
嫌だな〜楽しく飲みましょう」

「チッ、男の癖に
だから、あんたは、ねぇ.........」


いつもの説教が、始まった

こいつと、飲むと
いつも、説教をし始める

自分が、だらしなく
あまり男らしくないのを
気に食わないらしい

こいつとは、昔からの友達で
面倒身がよく、世話好きだか
女らしさに欠けている
自分よりも、男勝りだ

だから、友達いられる

よく男と女は、友情は成立しないと
言う人がいるけど

自分は、そんな事は
無いと思う

現に、今ここの居酒屋で二人で
楽しく飲んでいる

説教は、キツイけど
時間を忘れるほど楽しく飲めるし

それに愚痴も聞いて貰える

この前、彼女に振られて
今日は、自分の慰めの会だ

下心は、何て全く湧いて来ない

こいつとは、友達
それ以上でも以下でも無い

ただの友達





「畜生!
何で、別れなきゃいけなかった
んだよ〜愛してたのに〜」

「そういう、女々しい所が
振られた原因じゃあね〜の」

「なんだと〜
俺だってな!男らしい所あるわ!」

「あ、そうですか」

友達が、腕時計を
チラチラ見始めた事に気づき

居酒屋の時計を見ると
12時を過ぎていた

「ごめん気づかなくって
もう、12時過ぎてるじゃん
終電行っちゃたか
タクシー呼ぶよ
今日付き合って貰ったし
タクシー代払うよ」

「いいよ
気にしなくって
遅いし帰るわ
じゃあね」

友達が、テーブルに
お金を置いて席を立ち
外に出て行ってしまった

自分は、慌てて支払いを
済ませて
友達を追いかけて
腕を掴んだ

「ちょっと、待って
お前の家、遠いだろ
何で、帰るだよ」

「歩いて帰るよ」

「馬鹿か!電車でも
一時間以上する場所だろう
歩いたら、どれくらい掛かる
わかんねーぞ!」

「じゃあ、どっかの
公園で野宿する」

「おい!自分の性別を
認識してるのか?
女だぞ!
危ないから辞めろ」

友達の顔が、剥れた顔になった

「あんだよ!
お前に言われたくない!
私の事、女だって
認識して無いくせに!」

「それと、これとは、
話が、違うでしょ!」

「違わない!」

「チッ、しょうがない
俺のアパート来いよ
ここから近いから」

「え!.........いいよ
悪いから.........」

友達が急に、下を向いて
口を尖らせて、地面を
軽く蹴り始めた

「大丈夫だよ
何も、しないから安心しろ」

友達が、微かな小さい声で
「何も、しないんだ.........」と
呟いた

「え.........何言ってんだよ」
頭の中で、理解出来なかった

「ごめん、今の無し無し
飲み過ぎちゃったかな
変な事言ってごめんねぇ

大丈夫
何処かでタクシー拾うから
.........じゃあね」

友達は、笑顔で言ったが
何処か悲しい顔していた

自分の手を解いて
歩き始めた

その後ろ姿に、友達じゃなく
女として見てる自分がいた

どうする自分?
ここで、呼び止めないと
でも、友達して?
女性として?

分からない

取り敢えず
止めないと

「おい!待ってよ
何か、するからさぁ
うち、来いよ」

友達が立ち止まった

「何するのよ!」

「え〜〜言うの?」

友達が歩き始めた

「ちょっと、待って言うから」

友達が、また止まった

「ジェンガしようジェンガ
あれ、楽しいよ」

友達が振り返り大声で
耳が、はち切ればかりの声で叫んだ

「馬鹿か!
だから、振られるんだよ!
私の気持ちを、考えないで
どんな気持ちで、愚痴聞いてたと
思ってんのよ!
馬鹿!鈍化野郎!
バ.........カ.........
もう、嫌だ.........嫌だよ........」

友達が.........いや

彼女が、膝を抱えて
泣き崩れてしまった


彼女に近づき
覆いかぶさる様に
彼女を抱きしめた

「自分でいいのかよ
鈍化だぜ」

「うん」

「男らしくないよ」

「知ってる」

「だらしないぞ」

「大丈夫、これから
私が、そばに、いてあげるから」

彼女が、目を瞑り
顔近づけて来た

彼女の口に自分の手で塞ぎ

「まだ、早いよ
まずは、デートとかを重ねて
時間を掛けてねぇ
それから.........」

「もう、馬鹿!」

彼女が、剥れて立ち上がり
歩き出した時に

すかさず彼女の手を掴んだ

「まずは、手を繋ぐ所から」

「小学生か!」

怒った口調で、言っていたが
彼女の顔は、満更でもない顔を
していた





2015年9月9日水曜日

禁断の林檎



(禁断の林檎)


昔、昔
ある深い深い山奥の
小さな村の外れにある森の中

「禁断の林檎」と言う林檎の木が
ありました

禁断の林檎は
透明に近いぐらいの美しい湖の
丁度、真ん中ぐらい
まるで湖に小さな穴を開けた様な
小さな陸があり
そこに一本だけ真っ赤な瑞々しい
禁断の林檎が
実る木が生えていました


小さな村の村長の言い伝えで
「あの禁断の林檎を
食べると呪われて死んでしまう
絶対に近づいてはならない」と
村人は村長の教えを守り

村人は、誰も湖には
近づきませんでした


そんな
ある日の満月の夜


村人が寝静まり
森のフクロウや虫たちが
ざわつき始めた頃

村の若者二人が
まるで鏡の様に
満月を映し出してる湖の側で
禁断の林檎を眺めていました


太めで優しそうな丸顔の若者が
もう1人の
狐みたいな細い目や姿の若者の
腕を引っ張って
怯えた声で言いました

「ねぇ....本当に
あの禁断の林檎を食べるの?」

狐目の若者が
ニヤリと口を歪ませて

「ああ、食べるよ
あんな迷信、嘘に決まってる
村長が1人締めしたいだけだろう」

「でも..村長に
怒られるよ」

「怖いのか?」

「べ、べ、別に怖く無いよ!」


「ついて来たくなかったら
ついて来なくっていい
俺だけ食べるぜ
あの
美味しそうな真っ赤な林檎を」

そう言うと
狐目の若者は湖に飛び込み
泳ぎ始めました

丸顔の若者は迷いながらも
後から追いかける様に
湖に飛び込み泳ぎ

陸に辿り着いた
二人の若者は
禁断の林檎をもぎ取りました

林檎を近くで見ると
月の光で光沢を放ち
真っ赤なルビーの様な輝き
狐目の若者が禁断の林檎を口に
つけて
合わせる様に丸顔の若者も
口につけました

「じゃあ
一緒に食べるぞ」

カブ

二人の若者は
禁断の林檎を食べてしまいました

かぶりついた禁断の林檎から
痺れる様な甘い果汁が滴り落ち
この世の物とは思え無い
ぐらいの甘味と酸味

余りの美味しさに
二人は、無言で貪る様に
次々と木から
林檎を捥いて食べていました

狐目の若者は
夢中で食べる丸顔の若者に
自慢気な顔で言いました

「俺の言ったとうりだろう
毒なんて入っていなかったろう」

丸顔の若者は食べるのに夢中で
狐目の若者に
見向きもしませんでした

「おい
人の話ぐらい聞けよ
まったく
それにしても
村長のやろう
こんな
美味し林檎を独り占めしやがって
村のみんなに言ってやる」

「村の....みんな....」

無心で林檎を食べていた
丸顔の若者は
激しく動かしていた口を止めて
握っていた林檎を見つめました

そのうち何か心の奥底から
ドス黒い感情が泉の様に湧いて
心の中を染めました

(誰にも渡したく無い)
(これは、俺だけの林檎だ)

丸顔の若者は
林檎を手から溢れ落ち
その手は狐目の若者の首を
握り閉めました

「渡さない....渡さない
渡さない....渡さない....渡さない」

狐目の若者は
手足が暴れて捥がき
丸顔の若者の手を払おうしましたが
その手は緩まず

顔が血の気抜けて
満月みたいに青白くなり
動かなくなりました

丸顔の若者は
狐目の若者が死んだのを確認して
高笑いをしました

「これで
俺だけの物だ!
誰にも渡さない」

丸顔の若者は
また、林檎に喰らい付きました

食べ終われば
林檎をもぎ取り

食べ終われば
林檎をもぎ取り

その手と口は、休まる事を
忘れたかのように動かし続けて

お腹が風船の様に
膨らんでいきました

とうとう
お腹が限界を過ぎた頃

パン

丸顔の若者のお腹は
風船みたい破裂して
クラッカーの様に
内臓が飛び散りました


翌朝


若者がいない事に気づいた
村人達は
手分けして若者を探しました

村人の1人が
禁断の林檎の下で蹲る若者を
発見して
村長に知らせました

直ぐに湖に駆けつけた
村長は蹲る若者を見て
苦い顔を浮かべました

「馬鹿な若者だ
あれだけ
近づくなと言ったのに」

村人は、村長に聞きました

「あれが
禁断の林檎の呪いですか?」

「そうじゃ
あの若者達は
争ったのだろう
禁断の林檎で

確かにあの禁断の林檎は
この世のと思えないぐらい
美味しい林檎じゃ

だが

その
禁断の味が争い事や
人間の醜い部分露わになる

独占欲に食欲が多寡が外れるのじゃ

なんで
そこまで味が出るか

あの禁断の林檎は
人間を養分にしてるじゃよ

人間の養分で人を狂わす
林檎を実らせ

それを餌に....

あの
若者達も養分になるじゃろう」

禁断の林檎の木には
屍になった若者に似た
丸々とした林檎と
細長い林檎を実らせていました


2015年8月15日土曜日

いつまでも




(いつまでも)




私には友達がいた

亜美ちゃんという名前の
6歳になる女の子


まるで姉妹みたい仲良しで
いつも一緒にいてくれた

よく二人でおままごとしたり
私の髪をヘアーブラシで
丁寧に梳かしながら
「私達は、いつも一緒だよ」と
笑顔で言ってくれた

まるで本物
妹みたいに可愛がってくれた


でも....亜美ちゃんは死んだ

それは事故だった
誰も悪くない
不運な事故

亜美ちゃんと私は
二階の子供部屋で遊んでいると

一階にいる
お母さんが、亜美ちゃんを呼び

いつもどうり
亜美ちゃんは駆け足で
階段から降りた時

ちょっと
階段の縁で
亜美ちゃんの先に出た右足が
左足に縺れただけ

階段の下る
いきよいで
亜美ちゃんは上半身が
のめり出し
「あ、」と言う声が
漏れてスローモーションのように
亜美ちゃんは空中に浮かんだ

亜美ちゃんの顔は
何が起きてるか理解出来ない様に
ただ口と目が大きく広げていた

その
一瞬のスローモーションの後

階段の中央の面に
亜美ちゃんの柔らかい
頭上から着地して
「グッギ」と言う
鈍い音を直角に曲がった首から
漏れた

そのまま糸の切れた
操り人形みたいに
手足を弾かれながら
階段の下まで転げ落た

仰向けに倒れてる亜美ちゃんの
首は捻れ
顔の鼻、耳、口、目、
穴という穴から
鮮明な真っ赤な血液を垂れ流して
私の目の前で
身体はピクピクと痙攣させてから
動かなくなった


母親は
「私が悪いの
全部....全部....私のせい」と
自分を責め立て
半狂乱になり

ノイローゼで精神病院に
入院と退院を繰り返し

この惨劇から
逃げるかの様に亜美ちゃんの
父親は、この家を競売にかけて
去っていった

それから
1年後

別の家族が引っ越して来た

三人家族で
亜美ちゃんと同じ
女の子がいる家族

私は、直ぐに女の子と
お友達になったが

その子の母親は
私を意味無く嫌った

顔歪ませて
薄気味悪いバケモノを見る様な目で
私を見て

自分の娘から
私を避けようとした

でも
私直ぐに目の前に現れた

母親は、私を見る度に
醜い声で私に罵声を浴びせた

「何で、いるのよ
捨ててきたのに!
呪いの人形だわ!」

私は、呪いの人形なのか?

別にこの家族に
怨みも無いし呪いもしない

でも

どんなに遠くに捨てられようと
戻ってくる

だって

泣き叫ぶ母親の真後ろに
立っている

首が歪に曲がって
右肩に頭を乗せて
表情のない顔で母親を見ている

亜美ちゃんがいるから

いつも
母親の真後ろにいて
何をするわけでも
無くただ佇むだけ

母親を
大きく開いた目で
凝視する亜美ちゃん

何で自分の母親じゃない人の
側にいるか分からないし

今の亜美ちゃんは何を
考えてるか分からない

でも

あの時に
私の事を大切に
してくれて
髪を賭してながら
「いつも、一緒だよ」と
言ってくれた事を忘れない



亜美ちゃんは
私の大切な友達

だから戻ってくる
亜美ちゃんがこの家に
いる限り

いつまでも....いつまでも


2015年8月3日月曜日

残り火



《残り火》




いつもの田舎町の静寂な川岸が
今日は違う風景に変わっていた

人混みの蒸せ返るような
熱気と屋台から独特のお祭り
匂いに苛立ちながら
忙しなく左右に首を動かして
周りを見渡していた

何処に行ったんだ
いつも彼女は
俺を置いていなくなる

俺は、地元の夏祭りに
行きたく無かった
地元の町内会が金を出し合い
些細な打ち上げ花火がある
酒屋である自分も
断る理由が無く毎年徴収される

都会の花火みたいに
何百発の花火は打ち上げ無いが
隣町からも人々が花火を
見に来てる

活気の無い町は
この時だけは、憂さを晴らす様に
賑わいを見せて
町内中が心躍る

彼女が、どうしても
一緒に行きたいと言うから来たのに
目を離した隙に
俺の横から消えていた

まるで迷子の子供だな
"あいつ"に似てる

普段の日常とは違う姿
着飾った葵アサガオ柄の浴衣姿で
俺を迎えに来た時は
ドキッとした
元彼女の投影を浮かべてしまった

夜空に咲き乱れる花火をが
いつもは心の奥底に
封じてる過去の思い出を
花火と共に鮮明に沸き上がる 

6年前の同じ日
最後の打ち上げ花火が
夜空に開いた時
元彼女は別れを切り出した

「都会の大学に進学する事に
決めたの」

打ち上げ花火を見上げながら
意思の強い横顔が
花火の光りで照らせれて
花火が散る共に暗闇に消えた

俺は、高校を卒業したら
親の跡を継ぎ酒屋になって
元彼女と
この田舎町に骨を埋めると
思っていたが
元彼女の意思は違っていた
この田舎町で人生を
終わりたく無い
可能性を試しみたいと
俺のもとから
この田舎町から去って行った

人混みの中から遠くの方に
後ろ姿の葵アサガオの浴衣が見えた

あんな所にいたのか
人の群れを掻き分けて
彼女の手を掴んで
「おい!やっと見つけ....」

振り返った顔は
彼女じゃなかった

元カノだった

高校時代は
垢抜け無かった化粧気の無い
昔の顔が都会の顔に

化粧が似合う
大人の女性に変わっていた
ピンク色の唇が
真っ赤な光沢感の口紅をつけている

よく見ると
浴衣は、今の彼女のデザインが違う
昔一緒に来ていた時の
葵アサガオの浴衣

突然の出会いで
頭の中から何か言葉を出そうと
したが気の利いたセリフが
出て来ず

「なんで....いるんの?」が
精一杯のセリフだった

元カノは
昔みたいに笑いながら

「両親が
たまには、帰って来いとか
煩くってねぇ
久しぶりに帰って来たの
変わら無いねぇ
ここも、貴方も」

そのセリフは
まるで、俺に出会うのを
分かっていたかの様に
滑らかに口から出て来た様に
見えた

「そうか
向こうで上手くやってるか?」

「大丈夫だよ
楽しくやってるよ」

元カノは
笑顔作りながらも
視線を下に逸らした

嘘をついてるいる

嘘をつくと
視線を逸らすのは
あの頃ままだ
懐かしくて嬉しかった

「おまえ、相変わらず嘘つくの
下手だな」

元カノが
真剣な眼差しで俺の目を
視つめて来て
「そんな事ないよ....
あのさぁ私達.....」と言いかけ時

「やっと見つけた
もう、勝手に何処か行かないでよ」

後ろから声が聞こ来た
振り返ると
彼女が顔を膨らまして
怒っていた

俺の顔を見て
彼女の表情が曇り始めて
俺の前にいる
元カノの存在に気がついた

「誰?この人」

慌てふためく気持ちを
抑えながら
「高校時代の同級生だよ
久しぶりにこっちに
帰って来たんだって」

元カノは彼女に軽く会釈して

「初めまして
高校の時の友達だった者です
なんだ
可愛い彼女がいるんじゃない
この幸せ者」

元カノは
俺の肩を軽く叩きながら
目の奥を潤ませながら
笑っている

「邪魔者は去るねぇ
バイバイ」

背を向けて
また、俺の前から去って行く

「え....おい待てよ」と
追いかけようとした時
手首を強く握る感触を感じた

振り向くと
彼女が強く俺の手首を掴みながら
俯いてる

「行かないで」
微かな声で彼女が囁いた

聞き取れたが
「なんか言った?」と
聞き返した

彼女は、首を横に振り
「ううん
何も言ってないよ
可愛い同級生だったねぇ
あ、花火」

その時
花火が打ち上げられた

高い音鳴らし
光りの線を夜空に引き

弾け飛びながら
丸い光りの花を咲かせてから
少し遅れて
体に響く音を鳴らした

俺と彼女と夜空を見上げていた
花火を見ながら彼女が不意に

「なんか
あの同級生て私に似ているねぇ」

俺の事を見透かされている
自分の気持ちを押さえ込み様に
彼女の手を強く握りしめて

「似てないよ....
おまえは
俺のそばにいるだろう」

「うん
行かない」

彼女が
強く手を握り返した

最後の打ち上げ花火の残り火が
パチパチと音を鳴らして
消えていった


2015年7月18日土曜日

12時を指した時

12時を指した時




彼の体の温もりと別れてから
どれぐらい時間が
過ぎたんだろうか

ついさっきの様な
それとも遠い昔の様な
曖昧な感じ

デートの帰り道を
用も無いのにコンビニに寄ッたり
出来るだけ 遠回りをしながら
重い足取りで
自宅のアパートの
玄関前まで帰ってきった

右手で
鍵を差し込み
回すことを躊躇している

帰りたくない
この扉を開ければ今日と言う日が
終わってしまう

寂しさと恐怖に近い感情が
胸から沸いて来た

鍵を抜き
カバンの中にしまい
代わりにスマホを取り出して
LINEを開いた

一時間前の受信
(お誕生日おめでとう
今日は、楽しかったよ)と
書き込まれていた

あれから
一時間が経っている

今日は、私の誕生日
一年で1回しかない特別な日

これで
終わってしまうの?と
心の中で何度も唱えていた

いつものデートなら
気持ちを
押し殺して我慢出来るのに

今日だけは
気持ちが乾きに似た
ザラザラとした騒(ざわ)つきが
収まらまい

私の甘えなのか?

彼を引き留めて
夜が明けるまで温もりを感じて
いたい

無理なのは分かってる
愛する妻を持つ彼を
引き留めるのは無理な事を

初めは割り切った関係
だったはずなのに

面倒のいい上司と
それを慕う部下の関係から
軽い弾みで始まった情事

彼の奥さんに罪悪感を
感じながらも
それが返って刺激になって
私を快楽へと湿らせた

そのうち快楽よりも
体を重ねる毎に少しづつ
心が彼に染まっていくのが
怖かった

面倒くさい女と
思われたくない
今、彼は、家にいて
その側に奥さんがいる


どうしても今の気持ちだけでも
彼に伝えたっくて

指が勝手に文字を
打ち込んでいた

(寂しい)

打ち込んで少しは
気持ちが楽になった

スマホを鞄にしまい
鍵を出そうとした時に
スマホのベルが鳴った

取り出すと
既読と文字が現れていた
(どうした?)

(ごめん.........今、奥さん
大丈夫?)

(大丈夫、あいつ
風呂入ってるから)

(良かった
暴露たら大変だもんねぇ
今日は楽しかった

貴方の体の温もりが
まだ
残ってるよ
なんか寂しくなっちゃって
少しでもいいの.....)

文字を打つ指が止まらなかった
この言葉を入れちゃ駄目だと
分かっていたが
押し殺していた言葉が
抑えられず
溢れ出てしまった

(会いたい)

文字が霞んでいた
後悔の念に押しつぶされそうで
苦しくって
目に涙が溜まったいた

嫌われたかも
しれない

既読だけがついても
返信は、中々来なかった

「ごめんねぇ
嘘だよ」と打ち込んでいる途中で
返信が来た

(いいよ
◯◯駅の前で待ち合わせで
いい?)

(本当?いいの?)

(あいつには適当な言い訳してから
行くよ
会おう)

(ありがとう
直ぐに行く)

口から吐き気に似た
嗚咽みたいな声が漏れそうになり
両手で口を塞ぎ
泣き声を殺した

心の奥底から出る
歓喜の感情

自分自身に
今日だけは....今日だけは
いいよねぇと
言い聞かせて

腕時計を見た

11:30


まだ
今日は、終わっていない

スマホを握り締めて
逸る気持ちを抑えながら
早足で駅に向かった

駅前に着くと

終電から出た来た
人の群れが改札口に疎らにいた

私は
彼に直ぐに見つけて貰う様に
銀色のシンプルな
丸い時計台の前に立って
改札口を見ていた

疲れきったサラリーマンや
仲間同士騒いでる大学生
誰かと待ち合わせなのか
私と同じ様に
辺りを見回す女性

彼の姿が
中々見つけられなかった

スマホが鳴り
画面には文字が表示されていた

(何処にいるの?)

(時計台の下だよ
もう、いるの?)

(いるよ)

(何処?)

(直ぐ近くだよ)

ドカ

誰かが私にぶつかって来た
瞬時に謝ろうとしたけど
右の脇のお腹に熱い物を感じた

ぶつかって来た人の顔を
覗くと
辺りをを見回していた女性だった

女性の顔は
怒っているのか
泣いているのか分からない
顔の中心にに皺を寄せた歪んでいて
私の顔を睨んでいる

女性の
手を観ると右手に彼のスマホを
持っていた

左手は紅い手袋をしてるのか
真っ赤に染まり
何か握っている手で
私の右の脇に何かを
擦りつけている

それに合わせて
私の脇の
体内で何かが動いていた


熱い
脇から熱さ全身に広がって行く

これは私の血だ

女性が
静かで冷静な声で
「渡さない....渡さない....」と
呟いている

私は
やっと自体が把握出来た
さっきのLINEの
やりとり
彼じゃなく
奥さんとだったんだ


こんなはずじゃなかった
悪いのは全部私
奥さんも彼も悪くない

奥さんに
「ごめんなさい」と
謝りたかったけど
もう声が出なかった

奥さんが私の体から
包丁を引き抜くと
血がドクドクと溢れ出し
アスファルトの
地面に血が広がって行く

私は、奥さんの体を
引きずる様に崩れて倒れた時

最後の視界に
時計台が12時を
指しているのが目に映った


私の誕生日が終わった








2015年7月7日火曜日






俺の目の前で
一件の木造住宅が
半分以上が炎に包まれている

二階建ての
古びた木造の家は
屋根よりも炎が高くうねり
まるで生命の意思を持った様に
バチッバチッと木が
軋む音を鳴らして
野次馬を威嚇してる様に見える


野次馬共に視線を向けると
目に焼き付ける用と大きく
瞳孔を開き
口を閉じるの忘れて半分開き
神秘的な神を
見るよな視線を送る者や

年配の主婦が集まり
忙しなく口を動かしてる
「怖いわね〜」
「また、放火犯の仕業かしら」
「あそこお家おばちゃんが
1人でいるんでしょ〜
逃げ遅れてるみたいなの
可愛いそうに」と
哀れみ言いながら時々
口元が緩んみ笑みが見える

楽しそうで何よりだ

私は、群がる野次馬共に向けて
「面白いだろ?
楽しくってしょうがいないだろ?
俺が、やったんだと」と自負を
喉まででかかったが抑えた

俺が
火をつけたのさぁ

ここ最近起きてる
4件の放火事件は、俺が犯人だ

退屈の日々が続く
事件や事故の起こらない
草臥(くたび)れた町

ここの住人共は
心の中で、何か起きないかと
密かに思ってる癖に
口に出さずに
同じ日々を
ただ、無駄に時間だけが過ぎている

だから
俺が、この周りを真っ赤に照らし
何もかも灰にする荒ぶる炎を
住人共に見せつけてやってる

賑やかな
お祭りがあるみたいに
人々が集まり
キャンプファイヤーの様に
火を囲み
神秘的な炎に心を奪われてる
感謝して貰いたいぐらいだ

この町は年寄りが多く
古くからの木造建築が
彼方此方に転々と佇んでいる

ここの婆さんも
そうだが
俺が親切に
「最近放火を多発してるから
玄関先に新聞紙置いちゃ駄目だよ」と促(うなが)しても

「そうですね〜ぇ
分かりました〜」と
口では、言うがやりやしない

なんの根拠があるか
知らないが自分の所は
大丈夫だと思っている

放火されても
自業自得だ

俺の放火のやら方は
町が寝静まってる
深夜4時にベットから抜け出し

あらかじめ
下見をして狙いをつけた
木造住宅の玄関先に置いてある

雑誌や広告や新聞の束に
ジッポーオイルを垂らして
マッチを投げ入れる

また、直ぐに戻り
ベットもぐり込む

自分の心臓の鼓動が早くなり
胸を鷲掴みにして
荒くなる呼吸を抑えながら
目を瞑り
ベットの横にある窓に
耳を集中させる
そのうち、町中がざわめき
始める

お祭りの始まりだ

放火現場に行くと
まるで神でも崇める様に
野次馬共が群がっている

もっと燃えろ

何もかも焼きつくして
しまえ!


でも
やがて消防士が
火を鎮火させて
水浸しになった
真っ暗に焼けた家の骨組みと
死体を残して
祭りは
終焉を迎える

俺は煤で黒くなった顔で
立ち尽くしていた

祭りを終えた
充実感と住民の感謝の声で
自尊心が満たされていく





「消防士ありがとう
ございます」


俺は
住民に向かって
心の底から出る
笑顔で答えた

「礼は、いりません
消防士として義務を果たしたまで
です」

2015年5月24日日曜日

おまえ

おまえ



目を開けるとピントの合わない
カメラみたいに視界がボヤけていた
徐々に視界が鮮明になり
知らない白い天井が見えた

ここは何処だ?
知らないベットで寝ている
何故ここにいる?

ベットの横で
知らない女が此方を見て
座っていた

何度も
「ごめんないさい
ごめんないさい」と悲しい顔で
泣きじゃくりながら謝っていた

知らない女が
何故、私に謝っいるんだ?

「すみません
ここは何処ですか?」

「え?病院です」
知らない女が驚いた表情をした

「病院か
私は何で病院にいるんですか?
私は......私は......誰ですか?」

頭も中が霧がかかった
様にボヤけて
何も思い出せない


「記憶がないの?
頭を打って記憶喪失になったのね
本当にごめんなさい!」

知らない女は
さっきの悲しみとは違い
悲痛な顔浮かべているが
一瞬
口元が緩み、笑みを表した
その素振りを隠すよに
私の手を強く握りしめて

「ごめんなさい
私のせいで
愛する夫をこんな目に
合わせて
ごめんなさい」と
また、何度も謝り始めた


私が何で病院にいるか
女から話しを聞かされた


私と女は、夫婦で
昨日の夜
家の中の玄関前で
些細な事が原因で
激しく言い争いになり


女....いや妻が
感情的に怒ってしまい
両手で私の事を突き飛ばした

私は、バランスを崩し
後ろに倒れてしまった時に
運悪く
壁に後頭部を強打して
意識を失って動かなかったらしい

揺さぶっても
起きない私に
妻は慌てて110番に電話して
病院に担ぎ込まれたみたいだ


私の頭に包帯が巻かれていて
確かに中央の後頭部辺りが
ズキズキ嫌な痛みがする

その痛みは、我慢出来たが
何かを思い出そうとすると
強烈な痛みが襲ってくる


思い出せない
名前も、住所も、親の事も
妻の事も、私の事全部が

医者には
外傷による一時的な記憶障害で
無理に思い出さなくっても
何かの切っ掛けで
全部を思い出す事があるから
ゆっくり治療しましょうと
言われた

今、私の過去を知ってるのは
妻しかいない


妻に私の事を色々聞いた

自分の名前、

どんな職についてたか
職場には妻が電話して
事情を説明して
有給を使っているみたいだ

自分の両親は、二人共
昔に死別してる事

私の食べ物の好み
趣味や癖

何を聞いても実感が湧かない
他人事の様に聞こえる

困惑してると
妻が悲しい表情を浮かべた

「ごめんなさい
全部私のせいなの
アナタを怒りに任せて
突き飛ばして
記憶喪失になるなんて
本当ごめんなさい」

「もう謝らないで
ください
大丈夫ですよ
思い出しますから
先生も言っていたじゃないですか
何かの切っ掛けに
思い出すかもって

それに
喧嘩で起きたハプニングですし
貴方がわざとやったわけじゃ
ないですから

そうだ
喧嘩の原因は
なんだったんですか?
何ついて
言い争っていたんですか?」

妻が、一瞬、口を噤む様な
表情を浮かべて

「大した事じゃないわよ
夫婦で
よくある些細な理由よ
それが、段々大きくなり
売り言葉に買い言葉で

喧嘩になっちゃたの
今まで、二人で溜め込んでいたのね
不満を
それが出ちゃったの

それより
リンゴ食べる?
アナタ好きでしょ」

「ありがとうございます」

何かを隠してる
そんな感じがした
思い出しそうとしたが
ズキズキと頭痛がして
何も思い出せない
頭を両手で抑えてると
妻が心配そうに覗き込んだ

「大丈夫?
無理に思い出さなくってもいいから

貴方が側にいてくれるだけで
私は幸せよ

あとね
他人行儀の言い方
もう、やめない?」

「そうですね........
ごめん
そうだな

なんか
言いにくくって

私は
いつも、貴方の事を
なんて呼んでいましか?」

妻は、林檎の皮を剥いてる手が
止まり
はにかんだ笑顔で
私を見つめて

「ほら
直ぐ他人行儀になる

いつもねぇ
私の事を
"オマエ"と呼んでいたわ
偉そうに
亭主関白だったわ」

「そうなんですか
私が偉そうにしていたんですか」

「またまた他人行儀
貴方が前を歩き
私が後ろからついて行く
貴方の背中を見て歩くのが
好きなの」

「なんか
そう言われると
恥ずかしい」

「ハイ、林檎
早く元気なって下さいねぇ」

妻が可愛く兎に剥いた林檎を
私に渡してくれた

それから
二週間妻は、献身的に私の
世話をしながら
二人の昔の思い出話をしてくれた

私の方から一目惚れをして
告白した話
色々な場所にデートに行った話

いっぱい喧嘩したけど
直ぐ仲直りする話

海辺でプロポーズした話
ハワイで挙式を挙げた事

妻は、思い出し笑いをしながら
懐かしむ様に話てくれた

話を聞く限り
仲の良いむつましい
夫婦に聞こえるが

あの日
記憶を無くした夜
私を突き飛ばすぐらいの
激しく言い争いをした原因が
なんだったのか?

気になって妻に
何度も聞いたが

いつも妻は
はぐらかして答えてくれなかった

医者から
後頭部の傷も完治したので後は
通院で記憶の方を治療しましょうと
言われて
退院する事になった

妻と一緒に帰り
マンションに着いた時

初めて
懐かしい感じした
頭が記憶して無くっても
体が覚えてるみたいで
自分の階や扉の前に行く事が出来た

「さぁ入りましょう」
妻が鍵を開けて
先に入り
自分が後から続いて玄関に
入った時

ここで、言い争いをしたのかと思い
玄関周りを見ていたら

激しい頭痛がして
右手で頭を抑えて
身体がよろめき
左手で壁寄りかかり

次々と記憶が蘇って来た
スライド写真みたいに頭の中で
現れて来て
霧がかっていた頭の中が
鮮明になった
全部の記憶が戻って来た

あの夜の出来事も

壁を抑えてる左手を見ながら
全てが分かった

「おまえ....」

「何?どうしたのアナタ
大丈夫?」

「おまえ....誰だ?」

私の左手の薬指には
結婚指輪などして無かった

知らない女が
人形みたいな表情や感情のない
冷たい顔で私を見ていた


あの夜と同じ様に







2015年5月11日月曜日

蜘蛛と少女



蜘蛛と少女





丁度いい場所にある
木の餌場を見つけた

どうも家の庭先みたいだが
手入れなんてされておらず
雑草が生い茂り
野花が彼方此方で咲いている
ここなら沢山の獲物が罠にかかりそうだ

木に糸を垂らして
糸を張り巡らさて
やっとのことで完成して
巣の中央で休んでいると
視線を感じた

人間に見られている

木の枝に作った巣の少し斜め下には
一階の家の小さい窓から丸見えだった

窓の枠に肘をついて
人間の少女が此方を
じっと見つめていた

失敗した
こんな所に巣なんか
作るじゃなかった

人間は、俺の事を忌み嫌う
醜顔をして俺の事を見て
俺が、せっかく作った巣も壊してしまう

でも
この少女は、違った
ただ俺の事を見つめていた
嫌悪感じゃ無い
好奇心のつぶらな目で見つめるだけ
だった

その少女は時々
俺に餌も与えてくれた

少女が虫籠を抱えて
俺の巣に近づき
籠から蝶を取り出し
俺の張った粘着してる糸に
置いてくれる

何故か少女は
蝶の羽を指でちぎってから置く

それも
笑いながら
何かを言葉を発してる

俺は、人間の言葉は分からない

俺が蝶に近づき
毒を刺し動けなくなった蝶を
糸で絡めて巻いた後
巣の中央に持って行き捕食する

その動作を
少女は飽きもせず見つめていた

少女が
何故こんな事をするのか
俺には、関係無いし
ありがたい事だが

少女が
今、捕食してる蝶に
似ている気がした

俺の巣に似てる家という巣
雁字搦めに見えない糸が巻きつき
身動きが取れず
逃げ出せない少女

夜になると
部屋の電気が消されて
少女が寝静まってる時
薄暗い部屋に少女よりも倍近くの大きさの大人の男が入って来る

布団を剥がし
俺と同じ様に少女の事を
貪り尽くす

少女の身体を至る所を
男の頭が蠢き捕食してる

少女は、目を開いて
無表情で言葉を発生ず
男の捕食が終わるのを
ジッと俺の事を見つめて待ってる
だけだった


ある日

いくら待っても
餌を運んでくれる少女が
来てくれなかった痺れを切らして

部屋を覗くと少女がいた

でも違った
少女じゃなかった

少女の形をした
抜け殻だった


少女は首から太い紐を垂らして
天井にぶら下がって
揺れていた

まるで少女の姿をした
蝶の繭に見えた

あれは
少女じゃない抜け殻だ
俺は少女を探した

少女の抜け殻の側を
一匹の白い蝶が羽ばたいていた

抜け殻の少女の周りを
舞っている

何故だか分からないが
少女だと思った

身体から抜け出して
蝶になったのか?

蝶は、数回
抜け殻を舞った後

窓から抜け出して
羽ばたこうしたが風に煽られ

運悪く
俺の巣の罠にかかってしまった

俺は、近づき毒を刺そうとしたが
何故か蝶は、藻がこうともせず
ただ、ジッと俺を見つめていた
まるで
男に捕食されてる時と同じ様に

部屋の扉が開く音が聞こえた
男は、少女の抜け殻を
呆然と立ち尽くし見てから
抜け殻の足元にしがみつき
酷い声で鳴き尽くしてる

それを見たせいなのか
何故だか分からない

俺は
蝶を粘着の糸から外して
逃がしてやった

あの人間の男と
同じ事をしたくなかったからなのか?

俺を忌み嫌わずに
餌をくれたお礼か?

自分でも分からないが
ただ
逃がしてやりたいと
思ってしまった

青い空を
自由に舞って行く
白い蝶を
見えなくなるまで
俺は見ていた

2015年4月14日火曜日

約束

約束




高校の卒業式の帰り道
俺と男友達Cと女友達A子とB子で
公園で最後の別れを惜しんでいた

C
「いいよなお前ら大学一発合格で」

Cは、昔から冴えなくって
勉強もこの中であまり良くなかった
気が合い仲のいい友達だけど
心の奥で優越感浸れる自分がいた事にちょっとした罪悪感を抱いていた

「そう気を落とすな来年は、合格出来るよ
そん時は、祝ってやるよ」

B子
「いつまでも友達だよ」

B子は、中の上ぐらいの顔で
いつも、みんな事を気にしてくれる
優しい女子で俺に気があるのは
分かっていたが
気づかない振りをしていた
自分には、想いを寄せる人がいたから

A子
「そうだよ
何があっても友達だよ」

想いを寄せる人は、A子だ
A子は、誰もが見惚れるほど美貌で
学校のマドンナ的存在だった
でも、綺麗な物には棘あり
気がキツイ性格でプライドが
高かった

C
「ありがとう」

「そうだよ俺たち友達だ
友達の誰かが困った事や頼みごと
あったら助け合う
約束だからな」

C
「ああ、約束だ!」

A子
「うん約束」

B子
「約束だね」


そして
あれから3年の時が流れた

大学も来年、卒業で就職先も決まり
今では、A子を彼女にしている
時々、B子とも会って遊んでいる

Cとは、あれ以来会っていなかったが
Cからの久しぶりに電話があった

C
「久しぶりだな
急に電話して来てごめんな
おまえに頼みごとがあって
悪いけど、うちに来てくれないか?」と頼まれて
Cの家に行く事になった

Cとは、3年ぶりに会うが
風の噂で
大学受験に3回も失敗して
精神的追い込まれ引きこもり状態だと聞いている

Cの家のチャイムを鳴らすと
パジャマ姿のCが出てきた

C
「悪いな、来て貰って
上がってくれよ」
噂で聞いてたのとは違い
暗い顔じゃなく元気そうで
パジャマの格好以外
引きこもりには見えなかった

玄関を入ると家の中は
昼間なのに
まるで夜みたいに暗闇だった

C
「先に二階に行ってて
お茶持って行くから」

「なんだよ暗いな
ほかの人は?」

C
「お父さんとお母さんは
出かけちゃってるよ
家の電球が切れていてね
それに暗い方が落ち着くだ
いいから、先に上がって行って」

やっぱり病んでいるな
引きこもりて精神状態はおかしいみたいだ

暗闇の階段を上がり
二階の廊下に行くと
同じく真っ暗な闇が続く廊下で
不気味さが漂っていた

奥の扉から光が漏れていて
そこの部屋かと思いドアを開けると

扉のノブを掴んだまま
目の前の部屋の光景に
金縛りにあったみたいに
身体が硬直して動けなかった

普通の部屋にはない
異物が其処にはあった

まるで生活感のない
綺麗に整頓された部屋に
一本のロープがぶら下がっていた

天井に結びつけらたロープの
垂れ下がった先には
大人の頭が入るぐらいの
輪っかが結ばれていた

愕然として部屋を見ていると
C
「お茶持ってきたよ」
振り返ると友達が
お茶が二つ置いたお盆を持って
無表情で俺の顔を見ていた

「おい!これなんだよ!」と
Cを怒鳴ったが
Cは扉にいた俺をすり抜けて
部屋に中央に座り

C
「首吊り用のロープだよ取り敢えず座れよ」と
平然とした顔で返された
取り敢えず
言われたとうりCの正面に座り
「大丈夫かよ
考え込むなよ」と説得してみたが
Cが笑いながら
C
「B子と同じ事言うな」と言った

「B子も来てたのか?」
面倒見のいいB子あいつらしいな
Cの心配していたのか

C
「ああ、俺の事心配して
来てくれてな
でも
俺の気持ちなんか分かちゃいないだろう
おまえもB子もA子も
一発で大学受験合格して
来年卒業か?
それにおまえなんか
友達のA子なんか
彼女にしちゃって

知ってるよ
B子にも手を出してるみたいじゃん
B子から全部を聞いたよ
あいつ!俺の悩み聞くふりして
おまえの愚痴を言いやがってさぁ
「私、遊ばれてるだけの関係
嫌なのに彼がA子と別れてくれなくって」だってよ

俺、B子好きだったんだぜ
知らなかったろう」

なんて事だ!
遊びの関係を持ったけど
B子は、それでもいいと承諾してる
はずだったのに
Cに喋るなんて

C
「俺を見てみろ
大学受験三回も
失敗して引きこもり
それに未だに童貞!

お前とは天と地の差
可笑しいだろう

ハハハハハハハハハハァ」

Cの顔は
口元は笑っていたが目は死んでいた

笑い声が部屋に響いて俺は
何も言えなかった
言葉にしても同情でしかなく
余計にCを傷つけてしまい
いい言葉浮かばなった

話しの流れをどうにか
切り替えよとした
「そうだ!
電話で、俺に頼み事があるって
いたじゃん
なんだよ
おまえの手助けになるなら
なんでも言えよ
約束したじゃん」

C
「頼みごとか
B子にも、お願いしたけど
断られてね.....おまえに電話したんだ」

「早く言えよ
遠慮すんなよ」
C
「俺を殺してくれよ」
「はぁ?」

Cが右手が背にまわり
何かを取り出した

幅たり15センチの包丁を
俺の目前に差し出して

C
「この包丁でさぁ
思いっきりさぁ
ぐさっと、ぐさっと
刺してくれよ」
Cが俺の右手を掴み
無理やり右手に包丁を持たせた


俺の右手を潰れそうになるかと
思うぐらい
Cが両手で握り締め
Cの喉仏に包丁の先端を
押し当てた

C
「ここだよ、ここ
もう、死にたいんだよ
でも.....自決する勇気が
中々出なくって
首吊り用のロープに首を通すけど
どうしても、死ね無かった
1人で死ぬのが怖くって
そん時思い出したんだよ
三年前の約束
友達が困ってる時は、助けてくれるて
だから.........さぁ
俺の首に刺してくれよ!」

「止めろよ!
ふざけるな!」

俺は、左手でCの手を掴み
力比べになって睨み合いになった
凄い力だ
本気で死のうとしてる
力ずくでCの手を振り払い
包丁を投げ捨てた

「お前!頭おかしいよ
どうかしてる!」

C
「フフフフフフゥ
おかしいよな
あの時の約束破るのか?
いいから、早く、さぁ早く」

Cは、包丁を拾い
首筋に包丁を当てながら
近づいて来た

イかれてる!
完全に頭がおかしくなってる

怖くなって扉から飛び出して
階段を下りようとしたが
暗闇で階段を踏み外し
転がり落ちてしまった
足首に激しい痛みを感じたが
C
「おいおい、大丈夫か?」と
暗闇の階段の奥から
Cの声が聞こえてきた

急いで起き上がり
玄関に向かって開けようとしたが

ガチャ、ガチャ、ガチャ
玄関が開かなかった
鍵のロックは開けたはずなのに
開かない何故だ?

玄関を見ると拳ぐらいの
大きさの南京錠がしてあり
玄関を塞いでいた
クソ!閉じ込められた

後ろを振り返ると
Cが階段の3段目で俺を
嘲笑う様に見つめていた

違う部屋の窓から逃げよう
Cのいる階段脇の廊下を
足を引きずりながら走り
奥の部屋に入ると
カーテンが閉めきらて
薄暗いキッチンで
足が何かに躓いて転けてしまった

ビチャ

床は、何かの液体が
溢れていた

躓いた物を見ると
40代ぐらいの女性と男性が首が
パックり空いた死体が
転がっていた

手を見ると
真っ赤に染まってる

Cが包丁をぶらつかせながら
台所に入って来て
転がる死体を蹴りながら
「こいつら
俺が、三回大学受験落ちたら
人の事、ゴミを見るような目で
見やがって

口では、「大丈夫よ、次は、
受かるわよ」と平気で
嘘付きやがった
馬鹿にした目で見やがって!

おい!
なんで、お前もそんな眼つきで
見るだよ
同じ眼つき見やがって
馬鹿にしてのか!」と
見下ろしながら顔が歪み
眉間に堀の深い皺を寄せて
俺に怒鳴り声を上げた
もう、昔のCじゃない
其処にいるのは、人を平気で殺す
殺人鬼だ


恐怖で足が震えて
立とうしたが
足が言う事効かず

這いずるように逃げ出し
隣の居間に這いずると
歩きながら後を追うCが
C
「お前もB子と同じだな」と言った
居間にはB子の死体が倒れていた

C
「しょうがない、他の奴に頼むよ
お前も死ね!」

グサ

背中に左側に
何かがのめり込む感覚がした
そこから暖かい熱が広がり
意識が遠のいて行く

C
「俺の気持ちを裏切りやがって
お前には期待してたのに」

ドカ、ドカ

俺の事をサッカーボールみたいに
蹴りあげ
生きてるか確認してる

まだ、意識がある
死にたくない
動いちゃ駄目だ

動かないで背中の痛みが
徐々に感じ始めながらも
目を瞑り死んだふりをしていると

ピチャピチャと床の血をふむ
Cの足音が遠のき

目を開けて
周りを確認すると
Cは、いなかった

倒れたまま、体の力を振り絞って
震える右手をズボンの
ポケットからスマホを取り出した

掠れる目で視界がボヤけながら
スマホを電話画面にして
番号を指で押した

まだ、死にたくない
警察に電話を

(.........1.....1.....)

ピリリリリリリリリリィ
ピリリリリリリリリリィ

親指が0に押す
微かな差で着信が鳴った

A子だ
画面にA子の笑顔が表示せれてる

ヤバイ
友達に聞こえてしまう

着信画面を押し電話に出ると

A子
もしもし今暇?バイトのシフト間違えちゃって
暇になっちゃた
今から会える?」

「うっ.........」

明るい声のA子の声が聞こえたが
声が出なかった

ソファーからCが飛び出して来て
俺の背中に跨り
腕をCの膝で押させつけられて
Cの左手が口を塞いでいた

騙された

Cが出て行くふりをして
居間のソファーに隠れて
俺の様子を見てたんだ

俺の右手からスマホを奪い
Cが電話に出た

C
「もしもし、
俺、覚えてる?

そうそう、高校の時の
今さぁ〜あいつトイレに行っていて
俺の家にいるの

そうそう

今から俺ち
来ない?

久しぶりに昔の話もしたいし

後ねぇ
頼みごとがあるんだ

ん?

来てから話すよ〜

場所はメールで送るよ

何?直ぐ近くじゃん

待ってるから
じゃあね〜」ピッ

「止めて.....くれ
頼むA子だけ.....は」


体を動かそうともがいたが
無駄な抵抗だった
身体が包丁の傷で衰弱しきって
もう力が出ない

Cが吐息がかかるぐらいの距離まで
俺の耳元に口を近づけた

C
「煩い!黙って死んどけ
大丈夫だよ
俺も直ぐ行くから
昔みたいに仲良くしようよ
先にあの世で待っててね」
Cが俺の髪を撫でられた

ピンポン〜🎵


耳から微かにチャイム音が聞こえた
意識が遠のいて.....行く

A子.....駄目.....だ
来ちゃ.....いけない

来ちゃ.....

瞼が重くなり
目が開かなくなり
意識が完全に失った

俺はここで死ぬのか?

遠くの意識から声が聞こえた
重たい瞼を開けるとA子の顔が
見えた

A子
「大丈夫生きてる?」

まだ
あの世に行ってはないみたいだ
どれくらい意識が無かったんだろう

「お前.....大丈夫か?
Cは.....」

A子
「殺して言ったか
殺してあげたの
約束したもんね
三年前あの時の約束」

なんて女だ
本当に殺すなんて
でも、そのおかげで助かった

「そうか.....
殺したのか、ゴホ、ゴホ」

A子
「大丈夫」

A子が、心配そうにして
俺の事を膝枕してくれてた
取り敢えず助かった
良かった.....死にたくなかった

「..救急車と.....警察..」
俺の言葉塞ぐ様にA子が
口を挟んだ
A子
「あのねCから
もう一つ頼みごとされてるの」

「何を.....」

A子
「友達がいないと
淋しいから連れて来てくれて」

A子の手を見ると真っ赤に染められた
俺の背中を刺した包丁を
握られていた

「お.....い.....待ってくれ.....
なんで?」

A子の包丁を持っていたスッと腕が
高く上がり
俺の胸の真上にあった
A子は俺に優しく微笑んだ


A子
「Cから聞いちゃった
あんた、私を裏切って
B子と付き合ってるて

友達同士の約束は、守らないと
あん時が、一番楽しかった

あんたが、全部壊したのよ
友達の約束守ろうね」

躊躇いの無い狂気きが
俺の胸に何度も突き刺さった

グサ、グサ、グサ、グサ