(禁断の林檎)
昔、昔
ある深い深い山奥の
小さな村の外れにある森の中
「禁断の林檎」と言う林檎の木が
ありました
禁断の林檎は
透明に近いぐらいの美しい湖の
丁度、真ん中ぐらい
まるで湖に小さな穴を開けた様な
小さな陸があり
そこに一本だけ真っ赤な瑞々しい
禁断の林檎が
実る木が生えていました
小さな村の村長の言い伝えで
「あの禁断の林檎を
食べると呪われて死んでしまう
絶対に近づいてはならない」と
村人は村長の教えを守り
村人は、誰も湖には
近づきませんでした
そんな
ある日の満月の夜
村人が寝静まり
森のフクロウや虫たちが
ざわつき始めた頃
村の若者二人が
まるで鏡の様に
満月を映し出してる湖の側で
禁断の林檎を眺めていました
太めで優しそうな丸顔の若者が
もう1人の
狐みたいな細い目や姿の若者の
腕を引っ張って
怯えた声で言いました
「ねぇ....本当に
あの禁断の林檎を食べるの?」
狐目の若者が
ニヤリと口を歪ませて
「ああ、食べるよ
あんな迷信、嘘に決まってる
村長が1人締めしたいだけだろう」
「でも..村長に
怒られるよ」
「怖いのか?」
「べ、べ、別に怖く無いよ!」
「ついて来たくなかったら
ついて来なくっていい
俺だけ食べるぜ
あの
美味しそうな真っ赤な林檎を」
そう言うと
狐目の若者は湖に飛び込み
泳ぎ始めました
丸顔の若者は迷いながらも
後から追いかける様に
湖に飛び込み泳ぎ
陸に辿り着いた
二人の若者は
禁断の林檎をもぎ取りました
林檎を近くで見ると
月の光で光沢を放ち
真っ赤なルビーの様な輝き
狐目の若者が禁断の林檎を口に
つけて
合わせる様に丸顔の若者も
口につけました
「じゃあ
一緒に食べるぞ」
カブ
二人の若者は
禁断の林檎を食べてしまいました
かぶりついた禁断の林檎から
痺れる様な甘い果汁が滴り落ち
この世の物とは思え無い
ぐらいの甘味と酸味
余りの美味しさに
二人は、無言で貪る様に
次々と木から
林檎を捥いて食べていました
狐目の若者は
夢中で食べる丸顔の若者に
自慢気な顔で言いました
「俺の言ったとうりだろう
毒なんて入っていなかったろう」
丸顔の若者は食べるのに夢中で
狐目の若者に
見向きもしませんでした
「おい
人の話ぐらい聞けよ
まったく
それにしても
村長のやろう
こんな
美味し林檎を独り占めしやがって
村のみんなに言ってやる」
「村の....みんな....」
無心で林檎を食べていた
丸顔の若者は
激しく動かしていた口を止めて
握っていた林檎を見つめました
そのうち何か心の奥底から
ドス黒い感情が泉の様に湧いて
心の中を染めました
(誰にも渡したく無い)
(これは、俺だけの林檎だ)
丸顔の若者は
林檎を手から溢れ落ち
その手は狐目の若者の首を
握り閉めました
「渡さない....渡さない
渡さない....渡さない....渡さない」
狐目の若者は
手足が暴れて捥がき
丸顔の若者の手を払おうしましたが
その手は緩まず
顔が血の気抜けて
満月みたいに青白くなり
動かなくなりました
丸顔の若者は
狐目の若者が死んだのを確認して
高笑いをしました
「これで
俺だけの物だ!
誰にも渡さない」
丸顔の若者は
また、林檎に喰らい付きました
食べ終われば
林檎をもぎ取り
食べ終われば
林檎をもぎ取り
その手と口は、休まる事を
忘れたかのように動かし続けて
お腹が風船の様に
膨らんでいきました
とうとう
お腹が限界を過ぎた頃
パン
丸顔の若者のお腹は
風船みたい破裂して
クラッカーの様に
内臓が飛び散りました
翌朝
若者がいない事に気づいた
村人達は
手分けして若者を探しました
村人の1人が
禁断の林檎の下で蹲る若者を
発見して
村長に知らせました
直ぐに湖に駆けつけた
村長は蹲る若者を見て
苦い顔を浮かべました
「馬鹿な若者だ
あれだけ
近づくなと言ったのに」
村人は、村長に聞きました
「あれが
禁断の林檎の呪いですか?」
「そうじゃ
あの若者達は
争ったのだろう
禁断の林檎で
確かにあの禁断の林檎は
この世のと思えないぐらい
美味しい林檎じゃ
だが
その
禁断の味が争い事や
人間の醜い部分露わになる
独占欲に食欲が多寡が外れるのじゃ
なんで
そこまで味が出るか
あの禁断の林檎は
人間を養分にしてるじゃよ
人間の養分で人を狂わす
林檎を実らせ
それを餌に....
あの
若者達も養分になるじゃろう」
禁断の林檎の木には
屍になった若者に似た
丸々とした林檎と
細長い林檎を実らせていました
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