2015年7月7日火曜日






俺の目の前で
一件の木造住宅が
半分以上が炎に包まれている

二階建ての
古びた木造の家は
屋根よりも炎が高くうねり
まるで生命の意思を持った様に
バチッバチッと木が
軋む音を鳴らして
野次馬を威嚇してる様に見える


野次馬共に視線を向けると
目に焼き付ける用と大きく
瞳孔を開き
口を閉じるの忘れて半分開き
神秘的な神を
見るよな視線を送る者や

年配の主婦が集まり
忙しなく口を動かしてる
「怖いわね〜」
「また、放火犯の仕業かしら」
「あそこお家おばちゃんが
1人でいるんでしょ〜
逃げ遅れてるみたいなの
可愛いそうに」と
哀れみ言いながら時々
口元が緩んみ笑みが見える

楽しそうで何よりだ

私は、群がる野次馬共に向けて
「面白いだろ?
楽しくってしょうがいないだろ?
俺が、やったんだと」と自負を
喉まででかかったが抑えた

俺が
火をつけたのさぁ

ここ最近起きてる
4件の放火事件は、俺が犯人だ

退屈の日々が続く
事件や事故の起こらない
草臥(くたび)れた町

ここの住人共は
心の中で、何か起きないかと
密かに思ってる癖に
口に出さずに
同じ日々を
ただ、無駄に時間だけが過ぎている

だから
俺が、この周りを真っ赤に照らし
何もかも灰にする荒ぶる炎を
住人共に見せつけてやってる

賑やかな
お祭りがあるみたいに
人々が集まり
キャンプファイヤーの様に
火を囲み
神秘的な炎に心を奪われてる
感謝して貰いたいぐらいだ

この町は年寄りが多く
古くからの木造建築が
彼方此方に転々と佇んでいる

ここの婆さんも
そうだが
俺が親切に
「最近放火を多発してるから
玄関先に新聞紙置いちゃ駄目だよ」と促(うなが)しても

「そうですね〜ぇ
分かりました〜」と
口では、言うがやりやしない

なんの根拠があるか
知らないが自分の所は
大丈夫だと思っている

放火されても
自業自得だ

俺の放火のやら方は
町が寝静まってる
深夜4時にベットから抜け出し

あらかじめ
下見をして狙いをつけた
木造住宅の玄関先に置いてある

雑誌や広告や新聞の束に
ジッポーオイルを垂らして
マッチを投げ入れる

また、直ぐに戻り
ベットもぐり込む

自分の心臓の鼓動が早くなり
胸を鷲掴みにして
荒くなる呼吸を抑えながら
目を瞑り
ベットの横にある窓に
耳を集中させる
そのうち、町中がざわめき
始める

お祭りの始まりだ

放火現場に行くと
まるで神でも崇める様に
野次馬共が群がっている

もっと燃えろ

何もかも焼きつくして
しまえ!


でも
やがて消防士が
火を鎮火させて
水浸しになった
真っ暗に焼けた家の骨組みと
死体を残して
祭りは
終焉を迎える

俺は煤で黒くなった顔で
立ち尽くしていた

祭りを終えた
充実感と住民の感謝の声で
自尊心が満たされていく





「消防士ありがとう
ございます」


俺は
住民に向かって
心の底から出る
笑顔で答えた

「礼は、いりません
消防士として義務を果たしたまで
です」

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