蜘蛛と少女
丁度いい場所にある
木の餌場を見つけた
木の餌場を見つけた
どうも家の庭先みたいだが
手入れなんてされておらず
雑草が生い茂り
野花が彼方此方で咲いている
ここなら沢山の獲物が罠にかかりそうだ
木に糸を垂らして
糸を張り巡らさて
やっとのことで完成して
巣の中央で休んでいると
視線を感じた
人間に見られている
木の枝に作った巣の少し斜め下には
一階の家の小さい窓から丸見えだった
窓の枠に肘をついて
人間の少女が此方を
じっと見つめていた
失敗した
こんな所に巣なんか
作るじゃなかった
人間は、俺の事を忌み嫌う
醜顔をして俺の事を見て
俺が、せっかく作った巣も壊してしまう
でも
この少女は、違った
ただ俺の事を見つめていた
嫌悪感じゃ無い
好奇心のつぶらな目で見つめるだけ
だった
その少女は時々
俺に餌も与えてくれた
少女が虫籠を抱えて
俺の巣に近づき
籠から蝶を取り出し
俺の張った粘着してる糸に
置いてくれる
何故か少女は
蝶の羽を指でちぎってから置く
それも
笑いながら
何かを言葉を発してる
俺は、人間の言葉は分からない
俺が蝶に近づき
毒を刺し動けなくなった蝶を
糸で絡めて巻いた後
巣の中央に持って行き捕食する
その動作を
少女は飽きもせず見つめていた
少女が
何故こんな事をするのか
俺には、関係無いし
ありがたい事だが
少女が
今、捕食してる蝶に
似ている気がした
俺の巣に似てる家という巣
雁字搦めに見えない糸が巻きつき
身動きが取れず
逃げ出せない少女
夜になると
部屋の電気が消されて
少女が寝静まってる時
薄暗い部屋に少女よりも倍近くの大きさの大人の男が入って来る
布団を剥がし
俺と同じ様に少女の事を
貪り尽くす
少女の身体を至る所を
男の頭が蠢き捕食してる
少女は、目を開いて
無表情で言葉を発生ず
男の捕食が終わるのを
ジッと俺の事を見つめて待ってる
だけだった
ある日
いくら待っても
餌を運んでくれる少女が
来てくれなかった痺れを切らして
部屋を覗くと少女がいた
でも違った
少女じゃなかった
少女の形をした
抜け殻だった
少女は首から太い紐を垂らして
天井にぶら下がって
揺れていた
まるで少女の姿をした
蝶の繭に見えた
あれは
少女じゃない抜け殻だ
俺は少女を探した
少女の抜け殻の側を
一匹の白い蝶が羽ばたいていた
抜け殻の少女の周りを
舞っている
何故だか分からないが
少女だと思った
身体から抜け出して
蝶になったのか?
蝶は、数回
抜け殻を舞った後
窓から抜け出して
羽ばたこうしたが風に煽られ
運悪く
俺の巣の罠にかかってしまった
俺は、近づき毒を刺そうとしたが
何故か蝶は、藻がこうともせず
ただ、ジッと俺を見つめていた
まるで
男に捕食されてる時と同じ様に
部屋の扉が開く音が聞こえた
男は、少女の抜け殻を
呆然と立ち尽くし見てから
抜け殻の足元にしがみつき
酷い声で鳴き尽くしてる
それを見たせいなのか
何故だか分からない
俺は
蝶を粘着の糸から外して
逃がしてやった
あの人間の男と
同じ事をしたくなかったからなのか?
俺を忌み嫌わずに
餌をくれたお礼か?
自分でも分からないが
ただ
逃がしてやりたいと
思ってしまった
青い空を
自由に舞って行く
白い蝶を
見えなくなるまで
俺は見ていた
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