旅人
一年で一番短い月の最後の日
寒さのせいで空気が澄み渡り
夜空の星の輝きを見ながら
山の麓の自分の住む町が
一望出来る所で
僕は、旅人を待っている
旅人とは5年前に
この場所で知り合い
話をしてるうちに意気投合して
一年に一回この場所で会おうと
約束してる
旅人は、毎年
旅をした場所の話をしてくれる
僕の知らない未知の世界の話を
聞くのが大好きだ
話を聞きながら
頭の中で想像し
まるで自分が旅人になった気分に
なれる
旅人は、いつも最後の方に
同じセリフを毎年
僕に言って来る
「一緒に旅をしないか?」
旅人は、夜空の星みたいに
輝く町に両手を広げて
「こんなちっぽけで狭い所で
同じ毎日を繰り返してるより
旅をした方が楽しいぞ
毎日が冒険だ」
旅人は、僕に近づき手を
差し伸べて
「さぁ、一緒に旅行こう」と
誘うが
僕は、答えは毎年変わらない
「こんなちっぽけで狭い世界でも
僕にとっては、広すぎるぐらいだよ
同じ毎日なんか繰り返してないよ
同じようで見えて
同じじゃない
時の流れで様々な事が変化してる
この世界だけで十分だよ
君の話だけで満足してるよ」
「今年も駄目か
来年も、また誘うからな」
旅人は
いつも苦笑いしながら
諦めてくれる
そろそろ約束の時間だ
今年も
また旅に誘って来るのかな
そう思いながら
夜空の星を見上げていると
旅人が向かって来るのが
見えた
星と同じ
銀色に光る旅人を乗せた
宇宙船が
今年も断るつもりだ
宇宙は広すぎる
この地球だけで十分だ
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