愛の形
妻が鼻歌を歌いながら
キッチンで手際よく夕食を
作っている
僕は妻の楽しそうな後ろ姿を見て
溜息を尽き
居間のソファに座りながら
上着のスーツを脱いだ
キッチンから
カレーの匂いがここまで
漂うて来た
今日は、なんかいい事が
あったみたいだな
機嫌が良かったり
何かいい事があった日は
いつも夕食にカレーが出てくる
多分、妻は無意識うちにカレーを
作ってるのだろう
分かりやすい性格だ
妻
「もう少しでご飯
出来るから、ちょと待っててね」
僕
「ああ、分かった」
妻
「今日オカズなんだと思う?」
僕
「.........カレーかな?」
妻
「正解〜!」
こっちの落ち込んだ声に
全く気づいていないみたいだ
僕は妻を心の底から愛してる
今でも二人で十分幸せだけど
二人の愛の形を残したいと
思ってる
愛の形.........子供だ
妻と僕の子供が欲しかった
でも、結婚してから
3年間子供に恵まれ無かった
妻は、病院に行こうと
相談して来たが
僕は「大丈夫、いつか出来るよ」と
拒否をして来た
怖かったんだ
もし僕が、子供の出来ない身体
だったら、どうしようと
妻は子供が好きなのを
知っている
僕はコッソリと
自分一人で産婦人科に
行き調べて貰った
脱いだ上着の
スーツの内ポケットから
一枚の紙を出して広げた
(診断書 無精子症)
僕が.........原因だった
僕の身体には精子が全く無い
不完全人間と判断された
医者は、
「漢方薬とか
治療薬があるので
落ち込まないで下さい
今度、奥さんと来て下さいね」
妻か.........
話しないと
いけないよな
黙っていたままじゃ
子供が出来ないままだ
妻がテーブルに
料理を並べ終わり
妻
「出来たわよ お待たせ」
僕は重い足取りで
テーブルに座り
妻に話しかけた
僕
「あのさ、君に伝えたい事が
あるんだよ」
妻
「そうなの、私もよ」
僕
「じゃあ
君からで、いいよ」
妻
「あのね
フフフフフフフゥ」
僕
「なんだよ〜
早く言ってよ」
妻
「子供が出来たみたい」
僕
「え? 誰の子?」
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