う忘れる男
男が怠そうに出勤準備をしていた
医者から貰った
栄養カプセルを飲んだが
最近全然効かない
身体が怠いし重い
テレビをつけると
最近よく流れているCMが
写し出された
「皆さん、嫌な思い出!
思い出したくも無い出来事とか
ございませんか?
我が社では、記憶を自由に
消せる装置を開発しました!
もう、嫌な記憶や
思い出したくの無い出来事に
悩まされる事は、ございません!
いい思い出だけを残し
素晴らしい人生送りましょう
どうぞ
メモリーイレイサーまで!」
男は、テレビのCMを
見て馬鹿にするように
軽くあざ笑った
こんな、ペテン師みたいな会社に
行く奴いるのか?
馬鹿馬鹿しいと
男は定期券を内ポケットに
入れると
ポケットの中に
何か紙が入っているのに
気づいた
取り出すと
一枚の領主書を見つけた
(メモリーイレイサー)と書かれていた
男は愕然とした
俺は、この会社に行っているのか?
馬鹿な行って覚えなんて無いぞ!
男は必死になって
思い出そうしたが
全然思い出せなかった
三日間
男は、頭の片隅で
思い出そうと考え続けたが
無駄だった
それどころか
仕事に身が入らなくなり
不眠症気味になっていた
男は決意した
メモリーイレイサーまで
行って
記憶を取り戻そうと
このままでは
ますます体に悪くなって行く
会社帰り
メモリーイレイサーに寄った
個室に案内されて
人が良さそうな若い男が
営業スマイルで現れた
「どうも、どうも
この前は、ご利用ありがとう
ございました」
「俺を知っているのか?」
「ハイ、
あー〜そうか!この前来た時
ここに来た、記憶も消して
いましたねぇ」
「そうなのか!
俺は、ここに来ていたのか.......
お願いがある!
俺は、何を忘れたのか
教えてくれ!」
若い男は難しい顔をした
「お客様、余り無理を
言わないで下さい
せっかく、嫌な記憶を消したのに
また、思い出すんですか?」
「頼む!お願いだ!
何か、大事な記憶だと思うんだ
覚悟は出来ている
どんな記憶でも、受け入れるよ
だから、思いださてくれ」
「分かりました
そこまで言うのら
しょうがありませんね」
若い男は、個室の奥の扉を
開いた
そこには
ゆったりと座れる椅子があった
椅子の頭部の方にコード
が無数に付いた
半円形のヘルメットがあり
椅子の周りには、何かゴチャゴチャ
した機械が並んでいた
「見て下さい!
これが我が社で開発した
奇跡のマシン
メモリーイレイサーです!」
若い男は鼻を鳴らしながら
ドヤ顔で言ったが
男の別にという顔に
少し不機嫌になり
「では、座って下さい」と言うと
男を椅子に座らせて
頭にヘルメットを乗せた
「本当にいいんですね?」
「いいから、早くしてくれ!」
「少し電気が流れますから
ちょっと痛いですよ」
若い男はスイッチを押した
ゴゴゴゴゴォと
地響きみたいな音が鳴り
男が苦しみ始めた
頭がビリビリ痺れ始めて
頭の中に次々と忘れていた
画面が現れて
頭の中に入っていた
地響きが鳴り終わり
男が項垂れていた
「..........思い出した
全部、思い出したよ」
「良かったですね〜
全部思い出したんですね」
男は体を縮こませて
小刻みに震えていた
「良く無い!
何で、思い出したんだ!
俺は......俺は....癌....なんだ」
男は癌だった
それも、全身に転移していて
もう、助からない体だった
朝飲んでいた栄養カプセルは
抗癌剤の痛み止めだった
男は死の恐怖から
抜け出したい為に
メモリーイレイサーに来て
癌だった記憶を全部消して
いたのだ
男が力無い小さい声で呟いた
「....頼む....もう一回....記憶を
消してくれ」
若い男は、男に耳を近づけて
「え? 何て、言いました」と
聞き返した
男は叫んだ
「頼む!記憶消してくれ!
怖いんだ!恐ろしんだ!
お願いだ....」
若い男は全くしょうが無いな〜
という顔した
「また、
料金が掛かってしまいますけど
いいんですか?」
男は泣きそうな顔で
「幾らでも出す
お願いだ、記憶消してくれ」と
言いながら財布から金を
出して、若い男に渡した
「分かりました
では、そのまま座っていて下さい
今度は、記憶を消しますねぇ
でも、記憶消す時は
最初に一時的に気を失います
目が覚めた時は貴方の
近くの公園のベンチの上です
ここでの記憶も消しておきますよ
それじゃ」
若い男はスイッチを押した
ゴゴゴゴゴォと鳴り
男は気絶した
若い男は、男が気絶したの
確認してから
男の内ポケットに領主書を入れた
「人とは不思議なもんですんねぇ
悪い記憶を忘れたいくせに
忘れたと気づくと思い出したくなる
人の悲しい性だと
いうことですかねぇ
もう、何回目ですか?
うちに来るのは〜
まぁ、うちは儲かって
仕方無いですけどねぇ
なんせ
リピーター率100%ですからね
ハハハハハハハハァ」
若い男が高笑いしてる横で
男は気持ち良さそうに
安らかな寝顔で寝ていた
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