2014年5月1日木曜日

幸福

幸福








私は、今、安堵の気持ちで

心が一杯になっている


解放感に満ちて

心の牢屋から、飛び出した

まるで、小鳥のように

空を自由に跳んでるみたい


ゴメンね


刺しちゃって


こんな眩いばかりの

街の夜景が一望出来る


ビルの高級レストランの場所

それも特等席で


貴方の右のお腹に

テーブルにあった

ナイフを刺しちゃって


貴方のお腹に刺した

ナイフから

血の海が広がっていき

綺麗な赤色に白い

絨毯が染まっていく


口をパクパクさせちゃって


苦しの?


ごめんなさい


声が小さくって

聞こえない


それに周りの悲鳴も

うるさくって


周りのお客さんが

口を開けたまま、青い顔で

見ているわ


一人の女性客が逃げて行った

それに合わせたように


逃げて行く、逃げて行く


我先に皆、逃げて行く


高級なドレスやスーツを着た

セレブ達が身なりや格好も

気にせず

凄い形相で逃げるなんて

所詮人間も動物だわね



私と彼を残して

皆逃げて行った


私は膝間づき、彼の口元に耳を

近づけると


「......な..ん..で?......なん....で?」

と繰り返し繰り返し


掠れた小さい声で呪文の

様に唱えてる


私は彼の頭を膝に乗せて

彼の頭を優しく撫でて挙げた



貴方には分からないと思うわ


私は貴方のせいで.........








あれは、一年前


会社帰りの時


あの日は雨が強く降っていたわね


私は、朝は快晴だったから

傘を持たず


出社したけど



仕事終わりに雨足が悪くなり

黒い雲が増えていき


雨が降る前に帰ろうと

したら


途中で振られちゃって


しょうがなく

喫茶店の窓際にある

小さい屋根で雨宿りして

雨足が弱くなるのを待ってると


貴方が走って来て

私の隣に雨宿りしに来たわね


最初、貴方を見た時

ドキ、としたは


背が高く、端正な顔立ちに

高級スーツ


まるで、テレビドラマから

出て来たような人


それに比べて、私は.......

顔は中の下


何処にでも、いそうな

可愛くない顔


体型も少し太いぐらい


艶やかな服も似合わないから

いつも地味な服


二人が並ぶと余りにも

似合わないし


周りから見ても、絶対カップル

だとは、思わないぐらい

不釣り合い


私は、恥ずかしくなり

この場を立ち去ろうと

した時


「凄い雨ですね、いや〜

参りましたね」


「え?」


私は一瞬周りを見果たした


私以外の誰かに話かけたの

だと思い周りを

見ても私と彼しかいなかった


私を見て話掛けて来ている


私は慌てて



「あ、あ、そうですね」


「朝の天気予報では、降らない

と言っていたのに

当てにならないですね

天気予報は」


彼は爽やかな笑顔で私に

話掛けてくれている


こんな私に.......


「ここだと

寒いから、中で珈琲でも

飲みませんか?

俺が奢りますから」


私は突然の彼の提案に

ビックリしたけど

はい、返事をして

喫茶店に入り


雨が収まるまで


たわいもない話をしたわね


とても楽しかった


彼と喫茶店で別れ


夢心地で軽やか足取りで

歩いていた


まるで、現実じゃないみたいな

夢の時間


鼻歌を歌いながら


水溜り除けて余韻に浸りながら

歩いていると


車道の車が私の横を通過する時

水溜りの泥水を掛けて

とうり過ぎ


水溜りに映る自分の姿を

見てしまった



泥水に汚れた

可愛くな女性が写っている



誰?この可愛くない汚い女性は?


と、一瞬思い


直ぐに私だと気づいた



何浮かれてるんだろう


馬鹿みたい


現実に引き戻されて

夢から覚めた気持ちになった


これが現実


ただ、喫茶店でお喋りした

だけじゃない


彼が私に好意を持つわけ

ないじゃない


そんな夢物語あるわけないじゃ

ないと


自分の中で自分に言い聞かせて

家に帰った



次の日、帰り道


あの喫茶店を少し覗いてみた


自分の中でいるわけ無いじゃん

と思いながらも


覗いて見ると


彼がいた


彼は窓際で珈琲を飲んでいて

目があってしまった


私は顔を真っ赤にして

直ぐに目を逸らし


足早に去ろうとした


まさか、本当にいるとは

それも、目があってしまった


恥ずかしい

早く家に帰ろうとした時


後ろの方から声が

近づいてきた


「待って、ちょっと、

待って、ハァハァ

良かった〜

もしかしたら

また、君に会えるんじゃないかと

思って」


「........私ですか?」


「今度の日曜日、空いてる?

もし良かったら

映画でもと思って」


まさかのデートの誘いだった


それが、切っ掛けとなり

彼と交際が始まった


彼と交際して

分かった事がある


彼は完璧だった


性格は優しい、温厚


スポーツ万能


お喋りも得意


頭脳明晰で物知り


一流ベンチャー企業の社長


私と何もかもが正反対世界の彼


彼とデートして


今迄着た事ないような

ブランドの服を着せてもらったり


テレビでしか食べた事ないような

豪華な食事


豪華なホテル


本当夢物語だった

幸せだった........けど


怖かった


自分でも立場は分かっている

こんな事して

いい身分じゃない事を


彼といて、幸せだと思えば

思うほど


私の中で得体の知れない

恐怖が膨れ上がってきた


幸せの分


いつか恐怖が倍になって

やって来るんじゃないかと


でも


その恐怖を和らげる事が

出来た



多分、私は弄ばれてるだけだ

と思う気持ちで


贅沢な食事ばかり食べてると

飽きて

たまに、庶民の食事を

食べてみたくなる


つまみ食いみたいなやつ


私はつまみ食いと


思う事で落ち着いていられた


そう、私は悲劇のヒロインでいい

彼が楽しんで貰えればいい


飽きたら捨てられる運命


これは、長く続かない

今だけの夢物語


そう、自分に言い聞かせていた




丁度出会ってから一年


彼が最上階のビルの屋上で

食事をしようと


言って来た


その顔は、いつもと違っていた


いつも笑顔な彼が

余り笑っていない暗い顔でいた


私悟った


今日で、終わりなんだと


夢物語が終わる


始まりがあれば終わりもある


今まで楽しかった

いい思い出ばかり


最後だから

思いっきり楽しもうと思った



彼と私は食事を食べて


最後、ワインを飲んでる時に

彼が今迄聞いた事の

ないトーンで話掛けて来た


「今日は、君に聞いて貰いたい

事があるんだ」


そういいながら彼は立ち上がり


私の横に来て


彼の上着のポケットから

小さい箱を取り出して


私に箱を開けて見せた


「僕と結婚してくれないか........」


彼が煌びやかなダイヤの指輪を

見せて言うと

周りのセレブの人達と

ウエイターが


一斉に拍手をし出して口口に

お祝いの言葉が出て来た


「おめでとう」「おめでとう」

「おめでとう」........


おめでとう........何が?




怖い、怖い、怖い、怖い、怖い

怖い、怖い、怖い、怖い、怖い

怖い、怖い、怖い、怖い、怖い


周りの拍手も、彼の笑顔も

全部、全部が、怖かった

得体の知れない恐怖が私の体を

全て覆っていた


気づいたら


テーブルにあったナイフを

彼のお腹に刺していた........






彼が私の膝の上

静かに眠りについた


やっと解放された


恐怖から



幸福とういう恐怖から





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