2014年12月5日金曜日

ドライブ

ドライブ





助手席の窓から
流れる景色を見ながら
ラジオから外国の女性の歌と
彼の話を聞いていた

彼は、いつも楽しそうに
車の話をする

私に話たって
しょうがいないのに

私は、車に興味がないから
何を言ってるのか
全く分からない

ラジオから流れる
外国の女性の歌と同じ

でも
生き生きと子供みたいに
話す彼が好きで、
相槌をうって聞いてるふりを
してしまう

彼の話を聞けるのも
彼の車に乗るのも
今日で最後

別れを言わなきゃいけない

私のお腹の中には
赤ちゃんがいるから

当然だけど彼の子

多分
彼に言ったら
降ろせと
言うだろう

彼は、私なんかより
車が大好き
給料のほとんどを車に費やして
しまう

子供が産まれたら
趣味の車なんか出来なくなる

私は、降ろしたくない
彼の子を産みたい

だから

「おい、どうした
今日は、いつもよりなんか
暗いな?調子でも悪いか?」

「あのね
話したい事があるの」

「なんだよ
話したい事って?」

「出来ちゃったみたい」

「え?何が?」

「赤ちゃん」

彼に打ち明けた瞬間
トンネルに入り
ラジオから流れていた
外国の女性の歌が消えた

重い空気と沈黙と
走行音の車の中
彼は、何も発せず
ただ黙っていった

分かっていた
こうなる事を

でも、心配しないで
私は、1人でも生きていける

赤ちゃんが、出来た時
そう、決めたの

貴方には無理

私を誘って色んな所へ
ドライブしてくれるのが
楽しかった

ありがとうねぇ

でも

もう、お別れ

「別れ.....」

「結婚しよう」

「え?何言ってっるの?」

「だから、結婚しよう」

「車.....は?」

「そろそろ遊ぶの
一旦止めよと思っていたんだよ
この車も売らないとな
赤ちゃんが生まれるから
ファミリーカーにしないと」

「いいの?」

「いいも悪いもあるか
俺は、親父なるんだぜ

でも
ごめんな
ちゃんとプロポーズしようと
思っていたのに
こんなドライブ中になっちゃて」

「.....う.....う....うわぁぁぁぁ」

トンネルを抜けて
また、祝福するかのように
外国の女性の歌が
聞こえてきた

私は、涙が止まらなかった
彼の事を誤解していた
自分の悔しさと
喜びの混じった涙

「おい、泣くなよ?、もう
はい、ティッシュ

別に趣味の車を捨てた
わけじゃないからな

子供も大きくなって
俺たちの元から巣立ったら

また、趣味の車やるからねぇ」

「.....うん」

「また二人で
ドライブをして色んな所に行こう
その時は、
助手席に乗ってくれるか?」

「うん」

「俺の
赤ちゃんが出来たのか」

彼が私のお腹を摩ろうと
片手をハンドルを離そうとした

「ハンドルは両手!
もう、スピード出さない!
安全運転!分かった!」

「怖!
分かりました
もう、一人前の母親かよ」

「この子が
巣立つまでわね」




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