2014年9月2日火曜日

Mist

Mist






彼女は、いつも霧の中から現れる


遠くの方から

僕に、優しく微笑み掛けて来る


その微笑みは、とても

優しく暖かくもあり

何故か悲しげだった


話掛けようと

追いかけても


途中で、煙みたいに

フッ、と消えてしまう



彼女は、誰なんだ?


昔から知っている気がする




車で山道を運転中に霧が出て来た

路肩に車を止めて


外に出ると


遠くの木と木の隙間から彼女の

後ろ姿が、見えた気がした


僕は、走った


足がもつれながらも

木と木の間

全速力で、走り


彼女の

白く細い腕を掴む事が出来た




彼女は、振り向き

驚いた、顔で僕の顔を見た



そして


また

あの、暖かく悲しげな笑顔で

僕を見て


柔らかい真っ白な手で

僕の頬撫でた


懐かしい匂いがした


子供時から

嗅いだ事があるような

懐かしい匂い


僕は、抱きつき

何故だか、涙が止め処なく

出て来た


彼女は、白い手で

僕の頭を優しく撫でながら


彼女

「大きくなったわね

近くで見れて嬉しいわ


でもねぇ

貴方はここに来ちゃいけない


帰るの


分かった


いつも、貴方の事見てるからねぇ」





僕は、目を覚ました


ここは、何処だ?

ベットで寝てるみたいだ


夢を見ていたのか?



看護婦

「先生!患者さんが

目を覚ましました

大丈夫ですか?」


「ここは?」


看護婦

「ここは、病院です

貴方は、霧が濃い山道で

運転を誤り

交通事故を起こしたの

良かった

意識が回復して

危なかったのよ

貴方」


「そうだったんですか」


看護婦

「あとね

貴方、うわ言を

ずっと言ってたわ」



「え?

なんて、言ってました」



看護婦

「ママ、ママ、てね」



僕は、自分の頬を触れると

あの温もりと

懐かしい匂いがしたような

気がした



「..........ママ」







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